トピッククラスターとは?内部リンク構造を最適化するSEO手法

トピッククラスター

トピッククラスターは、同じトピックを共有するページ群をひとまとまりのグループとして扱い、そのグループ全体で検索エンジンからの評価を高めていくSEO手法です。ひとまとまりのページ群を包括するページとしてピラーページと呼ばれる中核ページを持つことが、従来の投稿カテゴリや投稿タグによるグルーピングと異なっています。

トピッククラスターとは?

トピッククラスターとは、ある特定のトピックについて包括的に扱う中核ページ(ピラーページ)と、そのトピックに関連する詳細な情報を扱うページ群(クラスターページ)を合わせてひとまとまりのグループ(トピッククラスター)として扱い、内部リンクで結びつけていくSEO手法です。高品質なストック型のコンテンツを大量に持っているサイトに適しています。

言葉としてのトピッククラスター(topic clusters)が意味するのは「話題の密な集まり」です。モデルとしてのトピッククラスターは、共通するテーマを持った複数のページを中核ページの周辺に集めることで、そのテーマに関する検索エンジンからの評価を一連のページ群の全体にわたって高めることを意図しています。

構成要素

トピッククラスターの構成要素は、ピラーページ(中核ページ)と、クラスターページ(詳細ページ群)と、それらを結ぶ内部リンクです。ピラーとクラスターを合わせたページ群(トピッククラスター)は、全体として特定のトピックについての包括的な説明を提供します。

トピッククラスターの構成要素
  1. ピラーページ – ある大きなトピックについて包括的に扱う中核ページ。ピラーページでは、その話題に属する様々な話題を包括的に扱いながら、ある程度のあいまいさを持ったミドルからビッグキーワードを狙います。
  2. クラスターページ – 上位のトピックに属する個別的なトピックについての情報を提供する詳細ページ群。個々の詳細ページではそのページに固有のトピックを狭く深く扱い、具体的なロングテールキーワードを狙います。
  3. 内部リンク – ピラーページからは各クラスターページにリンクし、各クラスターページからはピラーページにリンクします。これによって、検索エンジンが各ページの関連性を正しく把握できるとともに、そのウェブサイトが特定のトピックについて包括的かつ詳細に情報を提供していることを検索エンジンに効率よく伝えることができます。

ピラーページは、そのトピッククラスターが扱うトピック全体のハブまたは目次のように機能します。そのトピックに関連する複数のクラスターページ(詳細ページ)からは、ピラーページへとリンクします。このリンクはピラーページのリンクポピュラリティを引き上げ、ピラーページがそのトピックの重要なページであることを検索エンジンに示します。

複数のトピッククラスター

サイト内に複数のトピッククラスターを構成することで、より幅広い内容を、よりわかりやすく整理することができます。SEOの観点からは、複数のトピッククラスターに備えられたそれぞれのピラーページをはじめとして、それぞれのトピッククラスター内のすべてのページのランキングの向上が期待できます。

トピッククラスターの効果

トピッククラスターを採用するメリットの中心は、トピッククラスター内の各ページの相互リンクによって、検索エンジンを含む訪問者が詳細情報や関連情報にアクセスしやすくなることです。ユーザビリティの課題を適切に解決することで、トピッククラスターに含まれるすべてのページの評価を向上させていきます。得られる効果の詳細は以下の通りです。

  • 訪問者のコンテンツに対する理解の促進 – 訪問者はピラーページでそのトピックの概要に触れた後、興味のあるクラスターページに移動して詳細な情報を取得することができ、内容をより理解しやすくなります。
  • ユーザー行動シグナルによる検索結果ランキングの向上 – トピッククラスター全体が訪問者にとって十分に興味深ければ、直帰率が下がり滞在時間が延びるといった良好なユーザー行動を示し、検索エンジンにプラス評価のシグナルが送られます。
  • 幅広い検索意図への対応 – ピラーページとクラスターページで特定のトピックに関する広く深い内容をカバーできるため、訪問者の幅広い検索意図に対応でき、多数のキーワードにおける露出の向上が可能になります。
  • リンクジュースの適切な再配分 – トピッククラスターは最適化された内部リンク構造を持つため、トピッククラスター内のどのページが被リンクを受け取った場合でも、ピラーページを中心にリンクジュースが適切に再配分され、トピッククラスター内のすべてのページにとってプラスに働きます。
  • 検索エンジンによるページ間の関連性の理解促進 – コンテンツと切り離されたナビゲーションリンクではなく本文中からリンクすることで、リンク前後の文脈をふまえてリンク先が評価され、リンク先とリンク元の双方のコンテンツのテーマ性が強化されます。
  • コンテンツ制作プロセスの合理化 – 既存のページをトピックごとに再編成することで、コンテンツの抜けや漏れが可視化され、またコンテンツ制作のロードマップが明確になり、キーワード選定やコンテンツ制作のプロセス全体を合理化できます。

なおこれらのメリットを最大限に活かせるのは、ストック型のコンテンツを数多く持っているサイトです。フロー型のコンテンツを日々大量に更新するタイプのサイトやコンテンツ量に乏しいサイトでは、そもそもトピッククラスターモデルに適しておらず、導入が困難であるか、導入できたとしても効果は限定的です。

従来の構成との違い

トピッククラスターは、カテゴリやタグを使った従来のコンテンツ構成とよく似ています。カテゴリやタグも、トピッククラスターも、共通のトピックに属する複数のページをグルーピングするものです。トピッククラスターは特殊な構成ではなく従来の構成の発展形です。むしろ、目次ページ(ピラーページ)を手作りするという意味ではCMS時代以前に後退している感さえあります。

カテゴリやタグとトピッククラスターが大きく異なる点は、カテゴリやタグでは個別のページへの動線がアーカイブページでの一覧形式で提供されるのに対し、トピッククラスターでは個別のページへの動線はピラーページの本文中からのリンクとして提供されることです。本文中からのリンクには文脈があるため、読者も検索エンジンも各ページ間の関連性を理解しやすくなります。

  • カテゴリやタグを使ったグルーピング – 一覧ページは時系列で並ぶアーカイブ形式であり、そこに表示される各コンテンツは「同じカテゴリまたはタグを共有している」という以外の文脈は与えられていません。
  • トピッククラスターによるグルーピング – 各クラスターページへの動線はピラーページの本文が提供するため、本文の文脈を通じてトピッククラスター内の各ページの関係性が明確に示されます。これは読者にとっても検索エンジンにとっても、それぞれのページの内容を理解しやすくなります。

また、カテゴリアーカイブやタグアーカイブは内包するページの一覧を表示するだけで固有のコンテンツを持っていませんが、ピラーページはトピッククラスターに属するすべてのページを包括する固有のコンテンツを備えています。このためピラーページはアーカイブページと異なり、検索結果に露出しやすい特長があります。

トピッククラスターの構成方法

トピッククラスターを構成するための標準的な方法は、メイントピックとサブトピックを分類し、メイントピックごとにピラーページを作成、ピラーページと各サブトピックを扱うそれぞれのクラスターページとの間で相互リンクを結ぶ、というものです。要点は、企画の初期にはトピック単位で構成すること(キーワード単位ではない)です。

メイントピックとサブトピック

トピッククラスターを設計するときの手順は、まずトピッククラスター全体で扱う包括的なメイントピックを決め、次にメイントピックに含まれる個別のサブトピックをリストアップしていきます。メイントピックはピラーページのテーマであり、サブトピックは各クラスターページのテーマです。

なおこの時点ではキーワードを軸に考えるのではなく、トピックを軸に考えることを忘れないでください。当初からキーワードを軸に考えればトピックに重複が生じ、計画が手に負えなくなります。どんなことを説明すべきかを先に考え、個々のページにとって適切なキーワードはあとから考えるようにしましょう。以下は、お馴染みのテーマを題材にした例です。

メイントピックサブトピック
SEO顧客の課題の洗い出し、コンテンツの計画と作成、キーワードの選定と最適化、コンテンツとコピーのライティング、被リンクの構築、etc.
リスティング広告予算策定、アカウント設計、キーワードの選定とグルーピング、広告クリエイティブの制作と最適化、ランディングページの制作と最適化、etc.

これを図に表すと、それぞれのトピッククラスターは下図のようになります。サイト内のページをこのような複数のトピッククラスターに整理していくことで、訪問者に対してはユーザビリティが向上し、検索エンジンに対しては各ページの重要度や関連性を正確に伝えることができます。

SEOとリスティング広告を題材にしたトピッククラスターの例

従来のコンテンツを再構成する場合

すでにサイト内に多くのコンテンツを持っていて、そこにトピッククラスターを導入しようとする場合、まず既存のページをトピックごとに分類して複数のトピッククラスターを作ることから始めます。そして、それぞれのクラスターを包括するピラーページを作り、ピラーページとクラスターページをそれぞれの本文中から相互リンクします。

  1. トピッククラスターの作成 – 既存のページをトピックごとに分類し、複数のトピッククラスターを作ります。
  2. ピラーページの作成 – 各クラスターごとに、そのクラスターに属する各ページを包括する中核ページとしてピラーページを作ります。
  3. 内部リンクの作成 – クラスターページとピラーページを相互リンクで結びます。必要に応じて、クラスターページ間にもリンクを設定します。これらすべてのリンクはコンテンツ本文中から張るようにします。

既存のページを再構成しているうちには、トピックの重複が見つかったり、低品質なページが見つかったりするかもしれません。重複や低品質コンテンツへの対処も再構成の作業の一部です。この機会にしっかりやってしまうといいでしょう。サイト内には有用で高品質なページしかない状態が理想です。

新たなコンテンツで企画する場合

新たにコンテンツを作ってトピッククラスターを構築しようとする場合、まずは特定のトピックについて包括的に扱うピラーページを作ることから始めます。そして、ピラーページに掲載しきれなかった詳細をクラスターページとして作り、ピラーページとクラスターページをそれぞれの本文中から相互リンクします。

  1. ピラーページの作成 – これから作成するトピッククラスター全体の内容を包括するピラーページを作成します。この作業には十分な時間と労力をかけ、そのトピックの全容がわかるページを作成するようにします。
  2. クラスターページの作成 – ピラーページの内容を補足するクラスターページ群を作成していきます。
  3. 内部リンクの作成 – ピラーページとクラスターページを相互リンクで結びます。必要に応じて、クラスターページ間にもリンクを設定します。これらすべてのリンクはコンテンツ本文中から張るようにします。

新規コンテンツの作成には時間がかかるものです。上記ではクラスターページよりも先にピラーページを作るとしましたが、これはあくまでも標準の手順であって絶対ではありません。急ぎの場合にはクラスターページの作成を先行させても構いません。クラスターページを先に作成すれば、それだけ早くロングテールのキーワードでの流入を得られます。

実践のためのヒント

トピッククラスターを導入することで状況が劇的に改善することもあれば、わかりやすい改善がみられないこともあります。トピッククラスターは万能の特効薬などではなく、形だけ模倣しても無駄に終わります。ここでは筆者のこれまでの経験をもとに、効果的に導入するためのヒントを紹介します。

ピラーページを単なる目次にしない

ピラーページを単なるまとめページや目次にせず、ピラーページにも固有のコンテンツを持たせるようにします。単なるまとめページや目次であれば、従来の投稿カテゴリや投稿タグを使ったコンテンツの整理と何ら変わらず、わざわざトピッククラスターを採用する意味がありません。

本文エリア内から内部リンクする

ピラーページから各クラスターページへのリンクも、各クラスターページからピラーページへのリンクも、各クラスター同士を結ぶリンクも、すべてコンテンツ本文エリアからリンクするようにします。これはGoogleの特許であるリーズナブル・サーファー・モデルに理由があり、実際の訪問者がたどる可能性の高いリンクほど多くのリンクジュースが渡されるからです。

また、Googleはアンカーテキストの前後の文脈を理解します。このためリンクの前後の文章も含めた文脈につながりを持たせた形で、本文中の文字列をアンカーテキストに使ってリンクすることがベストプラクティスです。

クラスターの外部にもリンクする

トピッククラスターについて調べていると、トピッククラスターの内部のページだけを相互にリンクし、外部にはリンクしないように推奨しているドキュメントがありますが、これは誤りです。リンクしたほうが訪問者の課題解決の役に立つのであれば、そのリンク先がどこであってもリンクすべきです。

トピッククラスターの中だけでリンクを閉じるというアイデアは、コンテンツサイロ(content silos)と呼ばれ一定の支持を集めているようですが、内部リンクの模範をWikipediaに求めるなら(Googleに極めて高く評価されてますから当然ですね)訪問者の利便性が向上するように内部リンクを張り巡らせることは確実にプラスです。

サイト内のすべてに適用しなくてもいい

トピッククラスターを導入するにしても、サイト内のすべてのページをトピッククラスターにまとめる必要はありません。コンテンツの種類によってはトピッククラスターと相性が悪いものもあるためです。たとえばニュースや日記のようにアーカイブが時系列に整理されていることが望ましいフロー型コンテンツであれば、従来の投稿カテゴリや投稿タグを使った整理のほうが合理的です。

またそもそもトピッククラスターは、毎日複数のコンテンツが増えていくようなサイトの全体に適用するのは無理があります。ストック型のコンテンツにだけ部分的に適用するなど、コンテンツの種類によって整理方法を使い分けるのが賢い方法です。

被リンクと高い品質が必要

リンクジュースの流れを最適化するという観点でトピッククラスターを見ると、各クラスターページのそれぞれが被リンクを集めることが重要であることがわかります。個々のクラスターページの作成と宣伝にこそ重点が置かれるべきで、その結果として、時間の経過とともにピラーページがランキングの向上などの恩恵を受けると考えるべきでしょう。

クラスターページが被リンクを集めるためには、それにふさわしい品質オリジナリティを備えている必要があります。もし低品質で被リンクもないクラスターページが大多数なら、全体での評価向上は望めません。低品質のものをいくら集めても品質は上がりませんから、個々のコンテンツの品質向上に取り組むことが先決です。

まとめ

トピッククラスターは、従来からある投稿タグや投稿カテゴリと同じような、コンテンツをトピックごと分類して整理する手法のひとつでしかありません。また、多数の有用で高品質なコンテンツを必要とすることも従来のSEOと変わりがありません。訪問者の役に立つコンテンツを、訪問者にとってわかりやすく配置するという標準的なSEOの方法論を再構築したものです。

とはいえ、適性のあるサイトできちんと構成すれば、トピッククラスターは非常に効果的です。ストック型の高品質なページが埋もれてしまっているサイトなどでは、部分的に導入することで劇的な効果を上げることも珍しくありません。ご自身のサイトの状況に合わせて活用してみてください。

参考

コンテンツ品質の約束