ローカルSEOとは?地名と業種名のSEOで上位表示する方法

ローカルSEO

ローカルSEOとは位置情報に基づく検索をターゲットにしたSEOです。Google検索やGoogleマップでの露出を高めるSEOで、店舗などお客さまの訪問を受けるタイプのビジネスにとっては必須の、しかし難しくはないSEOです。ローカルSEOでは、Googleマップでのポジティブなクチコミを増やすことで比較的容易に露出を高めていくことができます。

ローカルSEOとは

ローカルSEOとは位置情報に基づく検索をターゲットにしたSEOです。Google検索やGoogleマップなどでの検索者の位置情報に関連した検索や、目的地を探す意図のローカル・クエリでの検索結果において、自社の露出を増やします。このためにユーザーの検索キーワードとビジネスプロフィールの一致性や、自社のレピュテーションなどを最適化します。

ユーザーの訪問を獲得する

ローカルSEOは、店舗や施設などユーザーが訪問するタイプの事業の集客において最重要のSEOです。Googleの調査によれば、ローカル検索を行ったユーザーの76%はその後の24時間以内にその場所を訪れており、ローカル検索の28%は購入につながっているといいます(下図)1

また、スマートフォンでローカル検索を行ったユーザーの88%が、一週間以内に関連する店舗を訪問するといいます(下図)2

これらの調査結果からもわかるように、ローカルSEOは実店舗や施設への集客で大きな影響力を持っています。

ローカルパックでの露出を狙う

ローカルSEOの対象となる検索では、まずローカルパック(「マップパック」とも)と呼ばれる領域への露出を狙います。ローカルパックとは、地図検索やGoogleマップでの検索ではない通常のウェブ検索の結果上に地図が表示される検索結果で、通常は3箇所のおすすめの場所がハイライトされます。

下の画像は都庁付近で「文房具+近く」と検索したもので、検索結果には「場所」という見出しが出現し、その下にユーザーの現在地付近の地図が表示され、近隣の文具店が赤いマーカーで示されるとともに、おすすめの店舗が3つリストされています。下の画像の赤枠で示した部分がローカルパックです。

ローカルパックは上の画像のように検索者の現在位置に近い場所を探すときだけでなく、地名を加えて検索することで遠方の場所を探す場合にも出現します。次の画像は、現在位置は都庁のままで「新京極+お好み焼き」と検索したものです。京都市中京区の新京極通に近いお好み焼き店が表示されています。

ローカルパックに表示される3箇所のうちの1つに表示されれば、新規客の集客に大きく貢献します。ローカルSEOの目標は、ローカルパックに自店舗が表示される確率を上げていくことです。ローカルSEOの具体的な方法については後述しますが、通常のSEOと異なりローカルSEOのライバルは近隣の同業者だけですから勝機はあります。

ローカライズ検索結果での露出を狙う

場所を探す意図を示すキーワードで検索した場合、ここまで見てきたローカルパックだけでなく、通常の検索結果領域もローカライズされます。以下の画像は「心斎橋+画材」と検索した結果で、ローカルパックの下の通常の検索結果領域に当該地域の画材店のページがリストされているのがわかります(下図赤枠)。

この通常の検索結果領域でのSEOは、通常のキーワードの最適化と似た部分が大きく、地域名のキーワードと商品ジャンルのキーワードの組み合わせで最適化することで、ある程度は上位に表示することができます。しかし競合の強さによっては、ローカルSEOの順位決定要因に最適化されていることが必要となってきます。

ローカルSEOの順位決定要因

ローカルSEOの大前提として、Googleビジネスプロフィール3が存在し、オーナー確認が済み、ビジネスプロフィールを編集できる状態になっていることは必須です。前述のローカルパックに表示されるのはGoogleビジネスプロフィールであり、その設定内容を中心にキーワードとの関連性や一致性が検討されるためです。

ローカル検索結果は、主に関連性、距離、および顕著性に基づいています。これらの要素を組み合わせることで、最適な検索結果を表示します。

How to improve your local ranking on Google – Google Business Profile Help4

上記はGoogleの公式ヘルプからの引用です。ローカル検索の検索意図は「目的地を探す」ことですから、その候補に求められるのはコンテンツの質被リンクではなく、行きやすいことと、よく知られていて評判が良いことが求められます。ここからは、上記の引用で述べられた関連性、距離、顕著性のそれぞれについて説明します。

キーワードとの関連性

キーワードとの関連性とは、検索キーワードとビジネスプロフィールの情報が一致性している度合いです。Googleビジネスプロフィールに設定されたカテゴリやサブカテゴリ、説明、クチコミに寄せられた内容などが、ユーザーの検索キーワードと一致しているものほど上位に表示されます。

下の画像は「上野+バイク+グローブ」と検索した結果です。ローカルパックの最上部に表示されている店舗の情報には、キーワード「グローブ」を含むユーザーからのクチコミが抜粋されており、ユーザーからのクチコミの内容が検索キーワードとの一致に使われ、加点にもつながることがわかります。

ビジネスプロフィールの名前や説明文に含まれていないキーワードでも、ユーザーのクチコミに含まれていれば検索の対象になります。また説明文やビジネス名やカテゴリ名に含まれているような重要なキーワードの場合も、クチコミにも同じキーワードが含まれていれば加点の対象となります。情報が豊かで詳細なクチコミを集めることが良策です。

検索者との距離

検索キーワードで指定された場所または検索者の現在位置と、ビジネスプロフィールの距離は、ローカル検索のランキングで大きなウエイトを占めます。検索キーワードとして入力された場所または検索者の現在位置との距離が近いビジネスプロフィールほど、上位に表示されやすくなります。

ただし検索者が指定する場所や検索者の現在位置はコントロールできませんし、自店舗の位置は不動ですから、距離については介入の余地がありません。従って実際のローカルSEOでは、前段の「キーワードとの関連性」と、後段の「同業種の中での顕著性」を中心に施策を進めていくことになります。

同業種の中での顕著性

顕著性とは、知名度の高さと評判の良さを指しています。知名度の高さや評判の良さを測る指標として、Googleマップのクチコミ数と高評点が検索結果に強く影響することが公式ヘルプにも明記されています。また、公式ウェブサイトへの被リンクや、ウェブ上の記事への掲載、各種のレビューサイト上でのクチコミなども順位に加味されます。

競合店と差をつけるという意味では、この顕著性が最も重要です。キーワードとの関連性を最適化することは競合店も同様の施策をいつでも実施できますし、検索者との距離はコントロールできません。しかしクチコミを増やすことは後述する様々な施策によって可能ですので、積極的に実施し、競合店と差をつけましょう。

ローカルSEOのベストプラクティス

ローカルSEOで特に注力したいことは、クチコミを増やす取り組みと、良好なレピュテーションを構築する取り組みです。Googleマップ上でポジティブなクチコミの投稿を促進することは、高いSEO効果があります。Googleマップほどの効果はありませんが、それ以外の場所でのクチコミにも効果が期待できるため、総合的にクチコミ施策を実施していくことがベストプラクティスです。

ビジネスプロフィールを充実させる

GoogleビジネスプロフィールはローカルSEOのスタートラインです。商品やサービス、店舗についての詳細な情報を掲載すればするほど、ユーザーの検索キーワードと一致しやすくなり、検索結果に表示される可能性が高まります。その他、カテゴリや住所や営業時間、連絡先などすべての情報を可能な限り入力します。

ただし関連性の低いキーワードを含めたり、狙っているキーワードを無理に詰め込むことは逆効果です。特に、事業者名にキーワードを詰め込む例が散見されますが、これはGoogleビジネスプロフィールのガイドライン5に違反します。ガイドラインによく目を通し、準拠した形でプロフィールを充実させることが重要です。

Googleマップのクチコミを増やす

ローカルSEOで最重要なのがGoogleマップのクチコミを増やすことです。顕著性の項でも触れたとおり、Googleマップのクチコミ数と高評点が検索結果の順位に強く影響することは公式ヘルプにも明記されており、実際に非常に強く影響するからです。またクチコミの内容が詳細であればキーワードとの関連性にも好影響を及ぼします。

クチコミを増やすためには、お客さまや取引先などにお願いすることが有効です。よほど印象的な体験をしない限り、自発的にクチコミを投稿してくれる人は稀です。クチコミを増やすためには、口頭でお願いすることはもちろん、掲示物や、メールの署名や、配布物や、レシートなど、使えるものは何でも使ってお願いしましょう。

クチコミの見返りに特典を提供するなどの行為をしてはいけません。

Google ユーザーにクチコミを投稿してもらう – Google ビジネス プロフィール ヘルプ6

ただし上記引用にあるように、クチコミ投稿の見返りに金品や割引などの特典をつけることは禁止されています。あくまでも正攻法でお願いしましょう。また、小まめにクチコミに返信し、喜びと感謝の意を伝えることも大切です。お客さまと信頼関係ができている様子を対外的にアピールすることができます。

その他の場所でのクチコミを増やす

SNSやブログでお店を紹介してもらうことも有効です。SNSやブログでの紹介はGoogleマップへのクチコミ投稿ほどの直接的なSEO効果はありませんが、知名度を底上げする意味でプラスになりますし、SNSやブログの投稿を見た人が来店してくれることも期待できます。どんな場所であれ、クチコミを投稿してもらうことはありがたいものです。

たとえば飲食店ならInstagramに投稿してもらえるとありがたいというように、業種や業態に応じた適切な投稿先があるようなら、その投稿先を案内するのもいいでしょう。ただし、店舗を有料で掲載するサイトのほとんどは評判があまり良くなく、悪質なサイトが多いことに注意が必要です。基本的にはSNSやブログを中心に投稿をお願いするのがよいでしょう。

なお、クチコミの獲得の文脈で「統一されたNAP(Name: 店名、Adress: 住所、Phone: 電話番号)表記が必要」という説明を見かけることがありますが、これはGoogle検索がエンティティに基づくものになった2012年より以前の情報です。現在はNAPが揃っていなくても、また正確な表記でなくても、何ら問題ありません。表記がスタバでもドンキでもマツキヨでも、Googleはエンティティを理解します。

ローカルパック以外の通常のウェブ検索結果で上位に表示されるためには、通常のSEOが必要です。ただし全国を商圏にしているウェブサイトのような緻密なSEOは必要なく、商圏を表す地名のキーワードと、業種のキーワードを含み、その他の必要な情報が含まれたウェブサイトを持っていれば、多くの場合十分です。

特別なSEO施策は必要ありませんが、前段のクチコミ施策の延長で、被リンク構築を実施するのがおすすめです。地元のブロガーや地元の商店会などから被リンクをもらえるように、地元に密着したコンテンツを配信したり、地域のイベントに協賛したり、参加型のイベントを企画するのもいいでしょう。

知名度を上げ、来店数を伸ばし、クチコミを広げる施策を進めることで、通常のウェブ検索で上位を確保できるだけでなく、ローカルパックへの表示も安定的なものになっていきます。ウェブ上での存在感が増すにつけ、遠方からの来客が増えていきますので、被リンク構築を含めたクチコミ施策はコツコツと実施する価値があります。

まとめ

ローカルSEOの競合は、同じ商圏を共有する同業者だけです。そもそも競合が非常に少ないため、強力なライバルがいる場合でもローカルパックを獲得しやすく、また競合他社のベンチマークも容易です。通常のSEOが全国を相手にしなければならないのと比べれば、はるかに難易度が低いのがローカルSEOです。

ローカルSEOで直接の効果が極めて高い施策は、Googleマップ上でポジティブなクチコミを増やすことです。クチコミの投稿を口頭でお願いすることはもちろん、掲示物や、メールの署名や、配布物や、レシートなど、使えるものは何でも使って、クチコミを増やしましょう。基本的には、日々のローカルSEOでやるべきことはこれだけです。

巨大チェーン店のようにGoogleビジネスプロフィールの管理が煩雑になるケースを除けば、ローカルSEOは店主が自分で実施するだけで十分な効果が得られます。難しくもなく、時間もかかりません。さっそくご自分で始めましょう。

脚注

  1. Local search conversion statistics – Think with Google ↩︎
  2. Local search to store visit statistics – Think with Google ↩︎
  3. Google ビジネス プロフィール – Google にビジネスを掲載 ↩︎
  4. How to improve your local ranking on Google – Google Business Profile Help ↩︎
  5. Google に掲載するローカル ビジネス情報のガイドライン – Google ビジネス プロフィール ヘルプ ↩︎
  6. Google ユーザーにクチコミを投稿してもらう – Google ビジネス プロフィール ヘルプ ↩︎