リンクポピュラリティ(参照重要度)とは、被リンクの質と量をもとにWebページの重要性を判断するアルゴリズムで、代表的なものに Google の PageRank があります。また、リンクを介して渡される資産としてのリンクポピュラリティのことをSEOの俗語で「リンクジュース」と呼びます。
目次
リンクを一種の支持投票とみなす
リンクポピュラリティはリンクを一種の支持投票とみなし、多くの質の高いリンクを集めるサイトは高い支持を受けているとして、検索結果リストの中で優位に扱う、というアルゴリズムです。リンクポピュラリティの計算では、被リンクの数だけでなく質も考慮されます。被リンクが多いWebページからのリンクほど、重要性の高いものだとみなされるのです。
- 数多くの参照を受けている(被リンクを受けている)ページは信頼性が高い。
- 信頼性の高いページからの参照を受けている(被リンクを受けている)ページはより信頼性が高い。
これは世界中のウェブマスターに「おすすめのページはどれ?」と訪ねた結果を機械的に抽出しようとする評価方法です。リンクポピュラリティーはドキュメントのインターネット上での相対的な重要度の指標として非常にスマートなものであることから、今後も検索エンジンの重要な検索アルゴリズムの一つとして考慮され続けると考えられています。
PageRank はリンクポピュラリティの実装例
リンクポピュラリティを用いた技術としては、GoogleのPageRankが非常に有名です。Google の PageRank では被リンクの量と質によってWebページの重要度を測ります。過去の Google サイトでは、「Googleの人気の秘密」として次のようなことが書かれていました。
PageRankTMは、Webの膨大なリンク構造を用いて、その特性を生かします。ページAからページBへのリンクをページAによるページBへの支持投票とみなし、Googleはこの投票数によりそのページの重要性を判断します。しかしGoogleは単に票数、つまりリンク数を見るだけではなく、票を投じたページについても分析します。「重要度」の高いページによって投じられた票はより高く評価されて、それを受け取ったページを「重要なもの」にしていくのです。
Googleの人気の秘密1
リンクポピュラリティはページ固有の格付け
先に引用した「Googleの人気の秘密」はすでに削除されていますが、同時に削除された文章に次のようなものがありました。これはつまり、PageRankはそれぞれのページに与えられたページ固有の格付けであり、検索キーワードがなくても存在する2ということを意味しています。
PageRankTMはGoogleにおけるページの重要度を示す総合的な指標であり、各検索に影響されるものではありません。むしろ、PageRankTMは複雑なアルゴリズムにしたがったリンク構造の分析にもとづく、各Webページそのものの特性です。
Googleの人気の秘密
このように参照重要度だけを指標とする単純なリンクポピュラリティは、単にページ固有の重要度を測るものであって、必ずしもクエリとの一致度を示しません。したがって現在の検索エンジンでは、単純なリンクポピュラリティにだけ重みをつけることはせず、より進化したリンクポピュラリティを使用しています。
クエリによって変動する指標への移行
現在ではどのようにリンクポピュラリティが扱われているのか、という疑問は当然あるものと思いますが、検索結果のランキングにおいては、ページ固有の格付けよりもクエリによって変化する指標が主流になっており、具体的には次の2つがよく知られています。
リンクポピュラリティや、それを向上させるための被リンク構築の重要性に変わりはありません。しかし検索結果の順位を決めるには、上記のような検索キーワードによって変化する指標により大きな重み付けがされているということに注意すべきです。
しかしもちろんですが、ページ固有のリンクポピュラリティの重要性が下がっているわけではありません。例えばクローラーの巡回先やインデックスするURLの決定では重要な役割を果たしていますし、アンカーテキストマッチはランキングに対しても重要な要素の一つです。少なくとも、被リンク構築の重要性は依然として高いままです。
リンクジュースとは
リンクジュースとは、SEO業界の俗語で、あるページから別のページへとリンクを介して渡されるリンクポピュラリティに基づく価値のことを言います3。リンクジュースは「リンク資産(link equity)」や「リンクオーソリティ(link authority)」と呼ばれることもあります4。
リンクジュースの流れとリーズナブルサーファーモデル
初期のPageRankはランダム・サーファー・モデル5に基づいて設計されており、ひとつのドキュメントに含まれる発リンクはすべて同列に扱われていました。発リンクがページ内のどこに位置しているかや、そのページとリンク先のページの関連性などは計算に含まれず、リンクジュースはリンク先のページに等分配されていました。
その後、2004年にGoogleによって申請され2010年に受理された特許にあるリーズナブル・サーファー・モデルでは、実際にクリックされる可能性の高い発リンクはより多くのリンクジュースをリンク先ページに渡すモデルとなっています。これは特許文書の中で次のように説明されています。
このリーズナブル・サーファー・モデルは、ドキュメントに関連付けられたリンクのすべてが同じようにたどられる可能性が高いわけではないという事実を反映している。たどられる可能性が低いリンクの例としては、「利用規約」のリンク、バナー広告、ドキュメントに関係のないリンクなどがある。
US7716225B1 – Ranking documents based on user behavior and/or feature data6
現在では、メインコンテンツエリア内にあって魅力あるアンカーテキストが設定されたリンクは多くのリンクジュースをリンク先ページに渡すものの、フッターのリンクや目立たないリンクなどは少しのリンクジュースしかリンク先ページに渡さないと考えられています。この考えを取り入れることで内部リンクのSEOを強化できるでしょう。
まとめ
PageRankやリーズナブル・サーファー・モデルなど、リンクポピュラリティに関わる特許技術はGoogleの根幹であり、SEOの実施において重要であり続けているものです。リンクジュースの流れ(メインコンテンツ内で魅力的なアンカーテキストが使われたリンクは多くのリンクジュースを渡すなど)を意識することで、サイト全体のSEOを強化できます。
またもちろん、重要なのはサイト内部でのリンクジュースの配分だけではありません。サイトのリンクポピュラリティを育てていく意味で、被リンク構築の重要性も従来通り高いままです。サイト内と外の両方におけるリンクジュースの流れを意識して、より強力なSEOを実現していきましょう。