被リンクの獲得はSEOにとって極めて重要な課題です。被リンクの質と量は、インデックスを深めランキングを高める効果があるためです。質の高い被リンクをより多く獲得するためには、有用で高品質なコンテンツを、そのテーマに関心を持った人々に届けることが基本です。この記事ではこれを戦略的に行い、被リンクを増やす方法を示します。
被リンクとは
被リンクとは、外部のサイトのページから自分のサイト内のページに向けられたリンクのことを言います。「バックリンク」と呼ばれることもあり、英語では “inbound link” です。検索エンジンは被リンクの量と質をそのサイトの信頼度や人気を測る指標として使っているため、被リンクの獲得はSEOの最重要課題の一つです。
サイトやページが持つ被リンクの量と質は、後述するようにインデックスとランキングに強く影響します。十分な質と量の被リンクを獲得しているサイトは、より深くまで迅速にインデックスされ、検索結果のランキングでも好位置を獲得します。一方、被リンクの質と量が十分でないサイトでは、インデックスは遅く不完全で、ランキングも低くとどまります。
PageRankは、ウェブの膨大なリンク構造を用いて、その特性を生かします。ページAからページBへのリンクをページAによるページBへの支持投票とみなし、Googleはこの投票数によりそのページの重要性を判断します。しかしGoogleは単に票数、つまりリンク数を見るだけではなく、票を投じたページについても分析します。「重要度」 の高いページによって投じられた票はより高く評価されて、それを受け取ったページ を「重要なもの」にしていくのです。
Googleの人気の秘密1
上記はGoogleが過去に公開していたドキュメントからの引用です。ここで述べられているのは「人間によるリンクという行為は一種の支持投票であり、被リンクを獲得することは人間に支持された証拠である」ということです。被リンクという支持投票を獲得することは、インデックスする価値と、ランキング上位に表示する価値があることの証明なのです。
被リンクによるインデックスへの効果
被リンクの質と量が十分なサイトでは、サイトの深部まで迅速にインデックスされます。その一方で、被リンクの質と量が十分でないサイトでは、クロールされてからインデックスされるまでに時間がかかったり、クロールされてもインデックスされないページが多くなるなど、インデックスへの悪影響があります。Googleによる説明は次の通りです。
ウェブサイトの全体または一部がインデックスに登録されない場合、その他の一般的な理由は次のとおりです。
- ウェブサイトが、ウェブ上の他のサイトからの複数のリンクによって適切に接続されていない可能性があります。
サイトがインデックスに登録されていないのはなぜですか? | Google 検索セントラル2
他のサイトからの被リンクがない、または少ないサイトは、支持が得られていない信頼の低いサイトとみなされます。このためインデックスする価値もまた小さいとみなされるのです。このような状況にあるサイトは、被リンクを増やすことによってサイトの評価を引き上げ、サイトの深部まで迅速にインデックスされるようにする必要があります。
被リンクによるランキングへの効果
十分な質と量の被リンクを獲得しているサイトは権威サイトとして信頼され、検索結果で上位表示しやすく、自然検索での露出が多くなります。一方、被リンクが少ない、またはないサイトでは、信頼が十分でないとみなされ、検索結果での上位表示は困難です。このことについてGoogleは次のように説明しています。
Google は、ウェブページの関連性を判断するための重要な要素としてリンクを使用しています。
リンクスパム | Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー3
どのコンテンツが専門性、権威性、信頼性を示しているか判定するために役立つシグナルを特定します。たとえば、その判定を支援するために使用している要因の 1 つに、そのコンテンツへのリンクまたは言及が他の著名なウェブサイトに含まれているか把握するということがあります。含まれていれば、多くの場合、その情報の信頼性が高いことを示す十分なしるしとなります。
ランキング結果 – Google 検索の仕組み4
検索エンジンはコンテンツそのものから情報の信頼性を判断することはできず、リンクという一種の支持投票を用いることで人間による信頼性の判断を借用します。検索結果の上位表示を得るためには、被リンクの獲得は重要な役割を果たすのです。しかし、被リンクを増やすことは手軽にできることではありません。
簡単に被リンクを増やす方法はない
簡単に被リンクを増やす方法はありません。魔法のような手軽な方法はなく、地道に高品質なコンテンツを作ってそのコンテンツを宣伝していくことと、社交や社業に取り組んだ結果として被リンクを増やしていくことしか方法がなく、いずれにしても自然な被リンクを増やすことには大変な困難をともないます。
そうした困難をともない、簡単な方法や手軽な方法が存在しないからこそ、自然な被リンクを増やすことには価値があるのです。被リンクの獲得は、あなたやあなたのコンテンツが高いプレゼンスを獲得した結果であることを肝に銘じておきましょう。以下では、具体的な被リンクの獲得方法を紹介していきます。
被リンクを獲得する方法
被リンクはコンテンツが話題になった結果として獲得されるものです。コンテンツが話題になり、ソーシャルメディアでシェアされたりブログで言及されたりすることを繰り返すことで、被リンクが増えていきます。コンテンツが人々の話題になることが、被リンクを獲得し、増やすことにつながるのです。
被リンク構築の基本的な戦略は「被リンクを獲得するポテンシャルを持ったコンテンツをそのコンテンツに関心がある人の目に触れさせる」ことです。ポテンシャルの高いコンテンツを作成し、そのテーマに関心を持った人々に確実に届け、話題や議論を巻き起こすことが、被リンク獲得の最も基本的な形なのです。これを実現するステップは次の通りです。
- 個人としてコミュニティとつながる – 各種のソーシャルメディアサイトを通じて、同じテーマに関心を持つコミュニティに参加し、日頃からテーマに沿った情報を発信・共有することで、信頼されるコミュニティの一員として活動します。
- 役立つ高品質なコンテンツを作成する – 被リンクを獲得するコンテンツを作成します。コンテンツは実体験に基づいた独自性のある内容や考察を含む、高品質で役に立つ信頼性の高いものである必要があります。
- コンテンツをコミュニティに発表する – コミュニティにコンテンツを共有します。彼らが話題にしてくれればくれるほど、議論になればなるほど、コンテンツに触れる人が増え、被リンクを獲得できる機会も増えていきます。
コンテンツは自然な被リンクを得るための種子であり、その種子は適切な土壌に蒔く必要があります。適切な土壌とは、そのコンテンツと同じテーマに関心を持つ人々のコミュニティです。そして、種子を蒔く人のコミュニティ内での存在感が大きければ大きいほど、種子にも注目が集まり、より大きく育つことができます。
個人としてコミュニティとつながる
コンテンツの作成と並行して行っておくべきことは、FacebookやTwitterなどのSNSを使って、自分の専門分野のコミュニティとつながりを持つことです。このとき、より信用されやすく親しみやすくするという意味で、個人アカウントを使うことが推奨です。会社や屋号やサイト名のアカウントでは、個人的な関係を作ることが困難だからです。
Googleは過去の公式ドキュメントの中で「コンテンツを効果的に宣伝することで、同じテーマに興味を持っている人たちにより早く発見してもらうことができます」としています5。興味関心の近い人々とつながることが、コンテンツを効果的に宣伝する上での重要事項なのです。またGoogleは、様々なドキュメントで次のような言及もしています。
自分のサイトと同様の分野のトピックを扱っているサイトは多数あるはずです。一般に、そのようなサイトとのコミュニケーションを開始すると効果的です。
サイトの関連コミュニティのユーザーにアプローチする | Google 公式 SEO スターター ガイド6
SNSはユーザー同士の交流と共有を中心に構築されており、関連するコンテンツに関心を持つ人々のグループと出会うことが容易です。
Know about social media sites | SEO Starter Guide: The Basics7
サイトのテーマに関連するコミュニティに積極的に参加することが、サイトの評判を上げ、良質なリンクを得るのに有効です。フォーラムやブログなどで、意見やコメントを投稿し、参加ユーザーと交流してみましょう。ただし、他の参加ユーザーに対して迷惑となる行為やあからさまなサイトの宣伝ではなく、参加ユーザーにとって有益な投稿を心がけて下さい。そこで評判が上がれば、自然とサイトに人が集まってくるようになり、やがて繰り返しサイトを訪れるうちに、そのサイトにリンクを張る人も出てくるでしょう。
良質なリンクを得るには | Google 検索セントラル ブログ8
コンテンツを発信するとき、そのコンテンツの受け手があらかじめ存在しているのと存在していないのでは、出足で得られる反応に大きな違いが出ます。コンテンツ発信時の出足がよければ、その後も速く広く遠くへとコンテンツは拡がっていきます。その出足をよくする意味で、日頃からのコミュニケーションは重要です。
あなたのコンテンツを評価できる人々とつながりましょう。具体的には、広義の同業者と、潜在的なものも含めた取引先や顧客です。それらの人々に向けてあなたのコンテンツを発信し、高評価を受ければ、それらの人々を起点に外部へとクチコミが拡がっていきます。そしてネット上でのクチコミの拡がりには被リンクを増やします。
役立つ高品質なコンテンツを作成する
被リンクを獲得するためには「リンクする理由」を作らなければなりません。理由もなくリンクしてくれる人はいないからです。この「リンクする理由」がコンテンツです。コンテンツの作成では、読んだ人がリンクしたくなるほどの有用性や品質や独自性や魅力を備えたものにするべきで、Googleも次のように説明しています。
リンク獲得に関してアドバイスするとすれば、サイトのコンテンツをより魅力的にすることが最も効果的です。リンクを含め、他のものはみな後からついてきます。
大規模な記事キャンペーンのリンクに関する注意点 | Google 検索セントラル ブログ9
読んだ人が「ふーん、なるほどね」で終わるコンテンツでは被リンクは獲得できません。被リンクを増やすには「このコンテンツを(特定の誰かまたはグループ)に教えてあげなければ」と思ってもらう必要があります。そのためには、詳しさ、わかりやすさ、有用性、独自性などのうち、少なくとも一つは他を圧倒している必要があるでしょう。
また、SNSや検索結果で露出したとしても、クリックして中身を見てもらわなければシェアやいいね!などの反応を引き出すことはできません。クリック率を高めるという意味でリンクベイト(クリックベイトとも)を使うのもいいかもしれません。ただし多用しすぎると品位を落としてしまうことには注意が必要です。
コンテンツをコミュニティに発表する
素晴らしいコンテンツを作成したら、SNSを通じてあらかじめつながっておいた興味や関心の近い人々に発表します。そのコンテンツについて、人々と感想を言い合ったり議論したりできれば、話題はより拡がります。一方、誰もいないところに向けてひっそりとコンテンツを追加するだけでは被リンクは増えません。
あなたのサイトについて人々に伝えましょう。似た関心を持つ人たちのコミュニティで積極的に活動しましょう。
Key best practices | Google Search Essentials10
上の引用でGoogleも説明しているように、近い指向を持った人々に向けてコンテンツを発信することは重要です。コンテンツは近い指向を持った人々の間でまず話題になり、そこを起点に外部へと拡がっていくものだからです。こうした取り組みを加速するための方法論であるSMO(ソーシャルメディア最適化)をうまく取り入れましょう。
コンテンツを使ったその他の被リンク獲得方法
コンテンツの中には、特に被リンクを増やしやすい性質を持ったものがあります。また、前項で述べてきたような記事コンテンツであっても、自社サイト以外の場所で公開することで、より多くの人の目に触れると同時に被リンク獲得の機会を増やすこともできます。この項では、コンテンツを使った被リンク獲得方法のうち、基本以外のものを紹介します。
独自の調査結果を発表する
独自の調査結果やそれをまとめたホワイトペーパー(白書)などをサイト上で公開する方法です。現在はオンラインのセルフ型アンケート調査サービスのように安価で利用できる定量調査サービスも充実してきているため、市場調査を独自に実施することも現実的です。自社の事業に関連していて話題性の高そうな調査を考えるのはいい選択です。
また調査結果やホワイトペーパーを発表する際には、後述するプレスリリース配信と併用するのもいいでしょう。毎日のように様々なアンケート調査結果が発表されている昨今では、プレスリリースを配信しても記事化までたどり着ける可能性は高くありませんが、業界内で話題になる程度の効果なら十分に見込むことができます。
インフォグラフィックを発表する
インフォグラフィックとは、互いに関連するまとまった量のデータや情報などを、文字や数字、記号、絵文字、図表、イラスト、グラフなどを組み合わせた一枚の画像としてデザインしたものを言います。よくできたインフォグラフィックはSNSとの相性がよく、TwitterやFacebookを通じて頻繁に拡散されます。
データや情報さえ集めれば、簡易なものならMS Power PointやApple Keynoteで自作が可能です。高度なものでも原案さえ自分で作っておけば、クラウドソーシングを通じてデザイナーさんに仕上げだけを依頼することで安価に作ることができます。情報やデータを扱うことの多い仕事であれば、コンテンツ制作のルーチンに組み込むのもよいでしょう。
被リンクの獲得については、インフォグラフィックの配布元として自然な被リンクを集めることは当然として、画像検索で誰かのサイトやブログに掲載されているのを探して個別にリンクを依頼すれば、より積極的に被リンクを増やすこともできます。工夫次第で大きな結果を出せる可能性のある施策です。
無料のオンラインツールを公開する
税や利息などの計算ツールや、ぼかしやモザイクや回転などの画像加工ツール、パスワードやQRコードの生成ツールなど、オンラインで無料で使えるツールを公開することで被リンクを増やす方法です。自社の業務に関連したツールを公開できれば、被リンクを増やす効果は絶大です。
ツールの作成に際して、社内ではプログラミングなどの実装が困難だったとしても、アイデアさえあればクラウドソーシングを利用することで安価に開発が可能です。自社の業務に関連があるものなら、既存のツールの改良版か焼き直し程度のものだったとしても、ある程度の被リンク獲得効果を期待できます。
こちらも先ほどの調査結果やホワイトペーパーと同様に、公開に合わせてプレスリリースを配信すれば、場合によっては記事化まであり得るかもしれません。既存のものと似たところのないまったく新しいツールの開発に成功したときには、記事化を狙ってプレスリリースを配信しましょう。
業界の有力なサイトに寄稿する
コンテンツ制作能力に自信があり、業界の有力なサイトが執筆者を募集しているような場合には、寄稿者として応募するのも一つの方策です。著者情報欄や、場合によっては記事本文から被リンクを獲得でき、それ以上に重要なこととして著者としての評判や信頼を高める効果が期待できます。
執筆者を募集しているサイトは、Google検索で「ガジェット ライター募集」や「建築 ライター募集」や「農業 ライター募集」などのように「分野+ライター募集」と検索することで見つけることができます。うまく自分の業界や専門分野のサイトが見つかれば応募してみましょう。筆者も2007年以来16年ぶりにWeb担当者Forumで連載を始めました。
なお海外では、メディア系サイト以外にも個人所有のブログがゲスト投稿を受け入れていることがあり、そうしたところにゲスト投稿することを「ゲストブロギング」といい、被リンク構築の方法の一角を占めている11といいます。ただしこの手法は日本では一般的ではないので、無視してよいでしょう。
他のブログと言及記事を書き合う
2012年4月のペンギンアップデート12より以前のウェブの世界では、似たテーマを扱っているサイト間で相互リンクを行うのは一般的なものでした。しかしペンギンアップデート以降、サイト内に「リンク集ページ」を持つことも、他のサイトの「リンク集ページ」からリンクされることも、共にハイリスクなものとなりました。
このリスクを避けながら相互リンクに近いことをする方法は、自分と相手がそれぞれお互いに言及する記事を書くことです。相手のブログの中から興味深い記事を探し、その記事に言及する記事を書くことを、相手と自分の双方で実施します。この形はごく通常の意見交換の形式ですから、不自然リンクなどのリスクはありません。
しかもこの方法では、お互いの記事の内容に関連性が生まれるため、自分のブログの読者を相手のブログに連れて行く効果と、リンクポピュラリティを送る効果の両方が高いレベルで実現できます。被リンクの獲得という意味では効率はよくありませんが、開設から間もなく知名度の低いサイトやブログでは特に有効な方法です。
デジタルPR(デジタル・パブリックリレーションズ)
従来のPRは、テレビやラジオ、新聞や雑誌といった従来メディアへの露出を主な目的にしてきました。それに対して現在の「デジタルPR」では、従来メディアに加えて、有力なオンラインメディアやソーシャルネットワーキングサイト、ブログなどを含めたデジタルメディアでの露出も目的とします。
SEOの文脈では、デジタルPRは被リンク構築を中心としたオフページSEOの一種です。実施することの一つ一つは従来のPRとそう大きくは違いませんが、デジタルPRでは被リンクの獲得とE-E-A-Tシグナルの発生を目的とするところに違いがあります。また、対象の中にインフルエンサーなどの個人を含めることもデジタルPRの特長です。
プレスリリースを配信する
先述した独自の調査結果や無料オンラインツール、また後述するイベント開催などを発表する際に、それらを告知するプレスリリースを配信します。プレスリリース配信サイトの多くでは、各種のネットメディアにもリリース内容が自動で転載されるので、プレスリリースの配信だけでも多少の被リンク構築効果が期待できます。
プレスリリースの目的は第一に既存メディアの取材を受けることであり、第二に人々の目に触れ話題になることです。このため、ニュース性のないリリースを頻繁に配信するのはNGです。「○○で初めて」や「○○で一番」や「いま話題の○○」のような形で、既存メディアや人々が注目するポイントを付加したリリースを配信するようにしましょう。
セミナーに登壇または自社で開催する
自治体や商工会、業界団体など、社外の団体が主催するセミナーや勉強会の講師を務めることで、告知ページなどから被リンクを獲得できるとともに「その役割を任されるだけの専門性や権威性を備えた人物である」というレピュテーションが得られます。自社が主催するセミナーや勉強会でも、参加者のブログ記事などから被リンクを獲得できる可能性があります。
セミナーや勉強会の講師を務める機会があれば、積極的に引き受けましょう。いくらかの実績を積めば、放っておいても先方から依頼が舞い込むようになりますが、始めはそうもいかないかもしれません。そうした場合には、セミナーを自社開催するのも手段のひとつです。
また、セミナーや勉強会によっては講師の自薦が可能なこともあるでしょうから、業界のセミナーや勉強会についてよく調べ、自薦できる場合には自薦しましょう。登壇機会を得れば得るほど、次の登壇機会を得ることは簡単になっていきます。自分のプレゼンスが高まれば高まるほど、被リンク獲得の機会を得ることは容易になるのです。
エゴサーチしてリンクをリクエストする
誰かがネット上で自社を話題にしていないかどうかを検索して調べること(エゴサーチ)を定期的に実施しましょう。誰かが自社を話題にしており、かつリンクされていないものを探して、リンクするように依頼すれば、被リンクを増やせます。日頃から人々に対して話題を提供するように努め、広い交友を持っていれば、この形での被リンクも増えていきます。
また、自社が過去に発表したインフォグラフィックを画像検索し、それを使用している外部のウェブページやブログ記事を発見したような場合にも、リンクを依頼することができます。定期的にインフォグラフィックを発表していれば、この形でもかなりの量の被リンクを獲得できます。
取引先や加盟団体にリンクを依頼する
加盟している業界団体や地域団体、また取引先などにリンクを依頼します。会員リストや主要取引先リストからのリンクだけでなく、議事録やイベント情報など、他にも適切なリンク元ページがあり、まだリンクされていないようなら、それらについてもリンクを依頼します。
こうした被リンクは自社の活動から生まれるもので、自社の社会との関わりを反映しています。コンテンツを用いた基本の被リンク構築に比べれば得られる被リンクの数も少なく、インパクトに乏しいように感じられるかもしれませんが、付き合いの幅を拡げ、業界や地域でのプレゼンスを高めることは、被リンクを増やす機会につながります。
見学や視察の受け入れとイベント開催
工場や倉庫、圃場や林地など、自社の作業環境に見学や視察を受け入れられる場合には、積極的に受け入れることで、見学記録や視察記録などの形で被リンクを増やすことができます。また、工場などの敷地を使って即売会などのイベントを開催することで、協賛社の告知や参加者のブログ投稿などから被リンクを増やすことができます。
奈良県吉野郡黒滝村で銘木商を営む徳田銘木13では、施主や施工業者、行政や同業者などで年間600件ほどの見学や視察を受け入れています。これらの見学者によるSNS投稿で知名度が向上し、ブログ投稿や視察記録などによって被リンクが増加するという循環を作り上げています。
避けるべき手法
すべてのリンクスパムは徹底して避ける必要があります。スパム的な被リンク構築には効果がなく、害だけがあります。アルゴリズムによる自動のペナルティを受けた場合、回復に時間を要するだけでなく、完全に回復する保証もありません。リンクスパムの例としてGoogleは次のようなものを挙げています。
- リンクの売買
- 過剰な相互リンクや、相互リンクのみを目的としてパートナーページを作成する
- 作為的なアンカーテキストリンクを含む記事に対して支払いが行われる記事広告やネイティブ広告
- 質の低いディレクトリやブックマークサイトのリンク
- 配布されるウィジェットに埋め込まれている、大量のキーワードを含む非表示のリンクや低品質のリンク
- フォーラムでのコメントにおいて、投稿や署名の中に含まれる作為的なリンク
Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル14
そもそも、有用で高品質なコンテンツを作成し、そのコンテンツに興味を持つ人たちに向けて著者自身が宣伝するという基本の被リンク構築を実施していれば、被リンクの獲得は難しくありません。また、独自の調査結果や無料オンラインツールのように被リンクを集めやすいコンテンツも利用できます。リンクスパムは必要がないのです。
まとめ
被リンクを増やすためには、コンテンツ作成の以前の段階から戦略的に進める必要があります。あなたのコンテンツを話題にしリンクする人は、漠然とした誰かではなく、そのコンテンツのテーマに関心を持ち、同じ話題でつながる特定の集団の一員です。コンテンツの著者もまた、この集団の一員である必要があります。
もちろんコンテンツの品質は重要ですが、まずはその品質を適切に評価できる人々に届けることで、リンクをともなうクチコミが発生するのです。同じコンテンツでも、適切な集団の中でその集団の一員が発信する場合と、ひっそりとサイト内に追加するだけの場合では、被リンク獲得の効率はまったく異なります。
被リンクの獲得はコンテンツ作成だけの結果ではありません。オンラインやオフラインでの活動も含めた総合的な結果です。オンラインやオフラインの活動で高いプレゼンスを獲得していれば、被リンク構築の効率は上がります。逆にプレゼンスの低い状態では、コンテンツがあってもクチコミの発生も被リンクの獲得も期待できません。
- オンラインの活動 – 近い関心を持った人々のコミュニティへの参加、情報共有をはじめとしたコミュニティへの貢献、SNSを使ったコミュニケーションなど。
- オフラインの活動 – 各種団体への加盟、見学・視察の受け入れやイベントの開催、セミナーへの登壇など。
この記事の冒頭で述べたように、リンクという行為はリンクする側からリンクされる側への一種の支持投票です。そこには人間同士の信頼関係や評価が反映されます。コンテンツの著者は、支持を得られる活動をし、支持を得られるコンテンツを作り、支持される場所でコンテンツを発表することで、被リンクを増やすのです。
脚注
- Googleの人気の秘密 – Wayback Machine 2001年5月1日 ↩︎
- サイトがインデックスに登録されていないのはなぜですか? | Google 検索セントラル ↩︎
- リンクスパム | Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル ↩︎
- ランキング結果 – Google 検索の仕組み ↩︎
- Google 公式 SEO スターター ガイド(2023年12月7日版 Wayback Machine アーカイブ) ↩︎
- サイトの関連コミュニティのユーザーにアプローチする | Google 公式 SEO スターター ガイド ↩︎
- Know about social media sites | SEO Starter Guide: The Basics | Google Search Central ↩︎
- 良質なリンクを得るには | Google 検索セントラル ブログ ↩︎
- 大規模な記事キャンペーンのリンクに関する注意点 | Google 検索セントラル ブログ ↩︎
- Key best practices | Google Search Essentials | Google Search Central ↩︎
- Everything You Need to Know about Guest Blogging ↩︎
- 良質なサイトをより高く評価するために | Google 検索セントラル ブログ ↩︎
- 徳田銘木 | 吉野杉・吉野桧など自然木を扱う吉野の銘木商 ↩︎
- Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル ↩︎