著者情報のSEO効果 – 構造化データauthorとProfilePage

著者情報のSEO効果

著者情報に直接のSEO効果はありませんが、記事にバイラインや著者情報ボックスの形で著者情報を表示することで、読者に対して信頼性や説得力をアピールできます。また著者のプロフィールページを用意し、記事上の著者情報と合わせて構造化データをマークアップすることで、Googleが著者のエンティティを他と識別しやすくなり、著者がGoogleにとって既知の存在である場合にはSEO効果を期待できます。

著者情報とは

著者情報とは、著者の氏名や経歴、専門分野、保有資格、連絡先などを記述したもので、読者の興味に応え、読者との信頼関係を築き、記事の説得力や信頼性、透明性を高める目的で設置されます。これらはあくまでも読者に向けたものであり、後述するように直接のSEO効果はありません。

しかし著者情報を適切に設定することで著者のエンティティをより確実にGoogleに認識させることができ、その結果として、その著者が執筆した記事にはSEO効果が期待できます。このためには、記事ページに表示する著者情報と、独立した著者プロフィールページを構造化データで関連付けることがベストプラクティスです。

著者情報の形式には、名前と顔写真や肩書き程度を記しただけのシンプルなバイラインと、経歴や専門分野や資格などを短く記述した著者情報ボックス、そして1ページを使って著者を紹介する著者プロフィールページがあります。まずはごく簡単に、これらの著者情報の形式について説明します。

バイライン

バイライン(byline)とは、本来は新聞記事などの著者を示す署名欄のことで、ウェブ上で公開される記事の場合は、著者の写真と名前と肩書き程度を表示した小さなブロックのことをいいます。記事の冒頭または末尾に配置され、著者についてのより詳細な情報が掲載された著者プロフィールページにリンクします。

このサイトでは上の画像がバイラインで、記事の上部に設置しています。また、昨今ではバイラインと著者情報ボックスの区別が曖昧になってきており、次に述べる著者情報ボックスのことをバイラインと呼ぶこともあります。

著者情報ボックス

著者情報ボックス(Author bio box)とは、記事の著者を読者に紹介するためのブロックで、著者の名前や写真とともに、経歴や専門分野、学位、資格、連絡先などの情報を簡潔にまとめて表示します。記事の末尾に設置することが多く、より詳細な情報が掲載された著者プロフィールページにリンクします。

このサイトでは前述のバイラインに加えて著者情報ボックスも設置しており、こちらは記事の末尾に置いています。記事の冒頭ではバイラインをひと目見て「誰が書いた記事か」がわかるようにしておきつつ、記事の末尾では著者に興味を持ってくれた人に著者情報ボックスでもう少し詳細な情報を提供する意図です。

著者プロフィールページ

著者プロフィールページとは、著者についての詳細な情報を読者に伝えるためのページで、写真や経歴や専門分野、学位、資格、連絡先などの情報を掲載するほか、個人的な関心などについて記載することもあります。また、著者が普段から使っているソーシャルネットワーキングサービスがあれば、それらも紹介します。

このサイトではこちらのページが当該ページです。大量の情報を掲載していますが、筆者には特筆すべき目立った(公表可能な)実績がないため、細かなものまですべて列挙することで圧倒しようという意図でこうなっています。正直あまり格好のいいものではないと思います。

著者情報に直接のSEO効果はない

記事にバイラインや著者情報ボックスを設置したり、サイトに著者プロフィールページを設置したりすることには、直接的なSEO効果はありません。同様に、著者情報として保有資格や学位や職歴などを列挙することにも、直接的なSEO効果はありません。これらはいずれも自己申告で、好きなことを好きなように書けるからです。

著者のE-E-A-Tを高めるために著者情報を詳細に開示するのはよいことです。ただし実際に著者のE-E-A-Tが高まるのは、著者情報として開示された内容が独立した外部のウェブサイト上で裏付けられている場合だけです。外部の信頼できる第三者による裏付けがなければ、Googleであれ読者であれ、それを信頼することはできません。

著者情報がそのままでは信頼できない理由

著者情報の掲載内容は、多かれ少なかれ恣意的に選択されるものです。また、誇張した表現が可能であるどころか、まったくの嘘を書くこともできてしまいます。このように容易に誇張や偽装ができてしまうものが、直接的な順位の決定要因にはなり得ません。Googleのダニー・サリバン氏は次のように述べています。

著者情報を付けただけでランキングが上がることはありません。またGoogleのシステムは「著者情報に専門家と書いてあるからこの記事は専門家が書いたものだ」と判断することもありません。

Google SearchLiaison on X, 11:58 PM · Jan 8, 20241

著者情報の記述そのものはGoogleに見せるためのものではなく、あくまでも読者に見せるためのものです。後述するように、Googleが見ているのは各記事から著者プロフィールページへのリンクや、著者プロフィールページから外部のプロフィールページへのリンクで、Googleは著者を識別する目的でそれらを利用します。

SEO効果が得られる限定的なケース

記事の著者がGoogleにとって既知の著者、つまり外部の信頼できる情報源からのサイテーションを受け取っており、Googleにエンティティとして認識されている人物であると識別できた場合には、Googleは記事をその著者に関連付け、その著者の信頼度や注目度に応じてランキングに加点があるものと考えられています。

自己申告だけでは信頼できなくても、著者が自己申告した著者情報が、大手ニュースサイトや官公庁など信頼できる第三者のサイト上のサイテーションで裏付けられていれば信頼できます。実際に有力であったり著名であったりする著者であれば、第三者によって発信されたウェブ上の情報で裏付けが取れるものです。

現時点ではGoogleにエンティティが認識されていない人物が著者の場合であっても、今後の活動の成果によってエンティティが認識されることは十分にあり得ます。著者を識別しやすい状態にしておくことで、エンティティとして認識されやすくなり、また、エンティティとして認識されたときのSEO効果を大きくできると考えられます。

エンティティを識別させる著者情報

著者情報を記載する意味は、検索エンジンに対しては著者のエンティティを識別しやすくすることですが、そのために適切な構成があります。ここからはGoogleにとって著者のエンティティを識別しやすい構成と、それを構造化マークアップする方法について説明していきます。

エンティティを識別しやすい構成

Googleのジョン・ミューラー氏は2021年4月23日のオフィスアワー2の中で、Googleのシステムが記事の著者を識別する方法について説明しました。それによれば、Googleのシステムは、記事から著者ページへのリンクや、記事ページ上の様々な要素を調べて、記事の著者のエンティティを識別しようとするといいます。

また、著者についてのあらゆる情報が集約された中心的なプロフィールページがあれば、その著者のエンティティを識別しやすくなり、また、そのプロフィールページの情報が構造化データで明示されていれば、さらにエンティティを識別しやすくなるといいます。まとめると次のようになります。

  • Google検索は発見した記事について、その著者のエンティティを識別しようとする。
  • 記事の著者のエンティティの識別には、その記事から著者ページへのリンクをはじめとして、記事ページ上の様々な要素が使われる。
  • その著者に関するあらゆる情報が集約された中心的なプロフィールページ(おそらくLinkedInのプロフィールのような)があれば、著者のエンティティを識別しやすくなる。
  • 各記事とプロフィールページの両方で、著者情報が構造化データで明示されていれば、著者のエンティティをより識別しやすくなる。

著者のエンティティを識別しやすくするためには、著者についての様々な情報を集約した著者のプロフィールページを作成し、各記事からはその著者のプロフィールページへのリンクを設置します。著者プロフィールページからは、サイトの外部にある各種のプロフィールページへとリンクします。これを図に表すと次のようになります。

画像の上部に並んでいるのが各記事ページで、中央にあるのが著者プロフィールページ、下部にあるのが外部のプロフィールです。矢印はリンクを表しています。なお外部のプロフィールは、主に利用しているソーシャルネットワーキングサービスや主要な寄稿先などのプロフィールページを使用します。

このような構成にすることで、Googleのシステムがその著者についての情報を一元的に理解しやすくなり、他の著者と区別されたエンティティとしてその著者を識別できるようになります。なお著者プロフィールページは、ウェブサイトに複数の著者がいる場合にはそれぞれの著者ごとに作成するのがセオリーです。

もしあなたがGoogleにとって既知の著者エンティティだった場合には、上記のように著者情報と著者プロフィールページを構成しておくことで、あなたとあなたの記事は関連付けられ、あなたが書いた記事には一定の信頼性が付与されるものと考えられます。このような限定的なケースでだけ、著者情報はSEO効果を発揮します。

構造化データによる構造の明示

上述のような構成を作るだけでもGoogleによるエンティティの識別を支援することができますが、構造化データマークアップを追加して各情報を明示的に記述すれば、Googleによるエンティティの識別はより容易になります。具体的には、次のような形で構造化データを追加します。

  • 各記事をタイプArticleまたはタイプBlogPostingの構造化データでマークアップする。
  • 各記事のauthorプロパティの中で、urlプロパティでプロフィールページのURLを指定する。
  • 著者プロフィールページをタイプProfilePageの構造化データでマークアップする。
  • 著者プロフィールページのsameAsプロパティで、外部サイト上にある同じ著者のプロフィールのURLを指定する。

この内容をまとめて図に表したのが以下の画像です。各記事から著者のプロフィールページにリンクすることに加えて、構造化データのauthor.urlプロパティで著者プロフィールページを指定し、ProfilePageプロパティで構造化した著者プロフィールページからは外部のプロフィールページへとsameAsで接続します。

まだまだ多くの著者は人物としてのエンティティがGoogleに認識されていませんが、その場合でも他の著者と識別可能な構成を作っておくことがおすすめです。エンティティを認識されるためには信頼できる独立した第三者からのサイテーションを必要としますが、そうした機会があったときにより確実にエンティティが認識されるようにすることができます。

著者情報の設定と構造化

ここからはより具体的に、著者プロフィールページの作成と構造化や、各記事に挿入するバイラインや著者情報ボックスの構造化の方法について説明していきます。

著者のプロフィールページを作成する

著者のプロフィールページは、その著者についての様々な情報が集約された中心的なページとして作成します。名前や写真、略歴、SNSアカウントや寄稿先など、他のサイト上にあるプロフィールへのリンクなどを掲載し、Googleが著者を識別できるようにするとともに、読者に専門性をアピールします。

この著者のプロフィールページに向けて、各記事ページからプロパティ author.url を指定します。記事ページを構造化するArticle構造化データの推奨プロパティのひとつである author.url は、Googleが記事の執筆者を特定するのに役立つプロパティです。Article構造化データについての解説ドキュメント上では、author.url プロパティについて次のように説明されています。

記事の著者を一意に識別するウェブページへのリンク。作成者のソーシャル メディア ページ、「個人紹介」ページ、略歴ページなど。

URL が内部のプロフィール ページである場合には、プロフィール ページの構造化データを使用してその作成者をマークアップすることをおすすめします。

記事(Article)の構造化データ | Google 検索セントラル3

上記引用は少しわかりにくいですが、author.url で指し示すリンク先は、その記事の著者個人について略歴などを紹介するページで、プロフィールページ構造化データ(ProfilePage)でマークアップされていればなおいい、ということを言っています。著者ごとに著者プロフィールページを作成して次の内容を記載しましょう。

  • 名前 — 公式に使っている名前を記述します。通常は本名ですが、人によっては芸名や筆名やビジネスネームの場合もあるでしょう。
  • 写真 — 知っている人が見たときにその人だとわかる写真を使います。プロフェッショナルな印象を与えるものならよりよいでしょう。
  • 略歴 — 著者の専門性の背景となる職歴や学位や資格や受賞歴についての情報を記述します。検索エンジンではなく人間の訪問者が信頼感を覚えてくれる内容がよいでしょう。
  • 他の場所にあるプロフィール — 利用している各SNSのプロフィールや、寄稿先、Amazon著者ページ、Wikipedia記事などを記載しましょう。
  • メールアドレス — 本人と直接連絡がとれる連絡先として掲載します。場合によっては、インスタントメッセンジャーのIDや電話番号を掲載することもあり得ます。

上記以外にも必要や状況に応じてPersonタイプの各プロパティに該当する情報を付け加えるのもいいでしょう。そして可能であれば、これらを含めたページ全体を ProfilePage構造化データでマークアップします。JSON-LDで構造化データをマークアップした場合のコードのサンプルは以下の通りです。

<script>
{
  "@context": "https://schema.org/",
  "@type": "ProfilePage",
  "mainEntity": {
    "@id": "#main-author",
    "@type": "Person",
    "name": "住 太陽",
    "description": "SEOコンサルタント。SEOには1999年から従事しており、一貫して「中小企業が自社で取り組むSEO」を提唱、2002年には国内初となるSEO解説書を執筆したほか、執筆・講演など多数。ボーディー有限会社の代表取締役であり、中小企業を対象に定額制で格安のSEOコンサルティングを提供している。2007年、第19回堺自由都市文学賞受賞。",
    "email": "[email protected]",
    "image": "https://www.bodhi.co.jp/wp-content/uploads/2018/08/profile-240.jpg",
    "jobTitle": "SEOコンサルタント",
    "worksFor": {
      "@type": "Organization",
      "name": "ボーディー有限会社"
    },
  "sameAs": [
    "https://x.com/motoharusumi",
    "https://www.facebook.com/motoharu.sumi"
  ]
  }
}
</script>

バイラインか著者情報ボックスを設置する

記事にバイラインか著者情報ボックスを設置し、著者の略歴や連絡先を明示することは、読者に対して信頼性を確保する意味があります。記事の内容に責任を持つ者を明示し、どんな著者がどんな立場から記事を執筆しているのかを明らかにし、読者からの意見や質問を著者が直接受け取れるようにすることで、記事に対する信頼感が生まれます。

E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼)はランキングアルゴリズムそのものではありませんが、そのコンセプトに沿ったコンテンツ制作を行うことで、コンテンツが検索結果に表示されやすくなります。このE-E-A-TについてGoogleは公式ドキュメントの中で次の引用のように述べて、著者を明確にすることを勧めています。

誰がコンテンツを作成したのかが明確であれば、そのコンテンツの E-E-A-T は直感的に理解されやすくなります。考えるべき「誰が」とはこのことです。コンテンツを作成する際は、以下の「誰が」に関連した質問を自身に問いかけてください。

  • コンテンツの著者が誰であるかを明確にしていますか。
  • ページの然るべき場所にバイラインを記載していますか。
  • バイラインが著者や関係者についての詳細につながるものであり、その人たちのバックグラウンドや専門分野に関する情報をもたらすものになっていますか。

コンテンツの作成者が誰であるかを明確にしている場合は、E-E-A-T のコンセプトに沿っており、成功への道のりを歩んでいるといえるでしょう。著者の情報が求められるであろうコンテンツでは、バイラインを記載するなどして正確な著者の情報を追加することを強くおすすめします。

誰が(コンテンツを作成したか)| 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成4

ここで求められていることは、著者プロフィールページにリンクした著者名を表示するだけのシンプルなバイラインでも、ページを移動することなくもう少し詳しい情報が得られる著者情報ボックスでも、どちらでも実現可能です。好みに合うほうを使うのもいいですし、ご覧のこのページのように両方使うのも悪くありません。

なお検索エンジン向けの構造化データのマークアップは、以下のサンプルコードのようにシンプルなもので構いません。重要なのはauthor.urlプロパティで著者プロフィールページを指定しておくことで、それさえできていれば、あとは適宜、ご自分のサイトにとって必要と思われるプロパティを追加すればいいでしょう。

<script>
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "Article",
  "headline": "記事のタイトル",
  "datePublished": "2024-01-05T08:00:00+08:00",
  "dateModified": "2024-02-05T09:20:00+08:00",
  "author": {
      "@type": "Person",
      "name": "住 太陽",
      "url": "https://www.bodhi.co.jp/about/motoharusumi"
    }
}
</script>

まとめ

著者情報に直接のSEO効果はありませんが、リンクや構造化データを適切に設定しておくことで、Googleが著者のエンティティを識別することを助けます。もしあなたがGoogleにとって著者エンティティとして既知の存在で、著者情報が適切に設定されていれば、あなたが書いた記事には専門家としての信頼性が付与されるでしょう。

また著者としてクチコミを獲得し良好なレピュテーションを構築していくためには、読者に名前を記憶してもらう必要があります。バイラインや著者情報ボックスで読者にアピールすることは、クチコミやレピュテーションの前段階として名前を覚えてもらう助けになります。少々の気恥ずかしさは我慢しましょう。

あなたがまだGoogleにエンティティとして認識された著者ではなかったとしても、著者情報を設定することには意味があります。読者に対しては信頼感を提供でき、Googleに対してはあらかじめ他の著者と区別できる状態にしておくことで、著者エンティティとして認識されやすくなり、また認識されたときのSEO効果を大きくできます。

名前も知らない中小企業のウェブサイト上に掲載されている誰が書いたか明らかでない記事を信頼するのは困難です。知名度で劣る中小企業であれば、できる限りの透明性を担保したいものです。読者のために著者情報を表示し、それをGoogleにも理解しやすく整えておくことで、SEOと情報発信の効果をより大きくしていきましょう。

脚注

  1. Google SearchLiaison on X, 11:58 PM · Jan 8, 2024 ↩︎
  2. English Google SEO office-hours from April 23, 2021 ↩︎
  3. 記事(Article)の構造化データ | Google 検索セントラル ↩︎
  4. 誰が(コンテンツを作成したか)| 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 ↩︎

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