SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、自社のページが検索結果で上位表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。このSEO実践ガイドでは、主に中小企業を対象に、SEOの仕組みから自分で実施する方法までを詳しく、わかりやすく解説します。
SEO(検索エンジン最適化)の意味
SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、自社のウェブページがGoogleやBingなどの検索結果で上位に表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。SEOを実施することで、自社の事業領域に関心の高い見込み客を効率的に、無料で集客できます。
SEOは特別なものではなく、自分で実践できます。このページは実践のための解説ページです。SEOの概要とステップを紹介しているほか、文中のリンクをたどることでより詳しい内容にアクセスできます。このページの内容をざっと理解したら、さっそく自分でSEOに取り組んでみましょう。詳しいことを学ぶのは実践しながらのほうが効果的です。
シンプルな本質
SEOの本質は「検索ユーザーの質問にウェブ上で最も的確に答えるコンテンツを作成すること」です。検索ユーザーが入力する検索キーワードはすべて、検索エンジンに投げかける質問です。そして検索エンジンはその質問の答えとして最も役立つページを検索結果に出力しようとします。あなたが作るのはその答えとなるコンテンツです。
作成するコンテンツは、的確に疑問に答えるだけでなく、検索ユーザーの意図を満足させるものである必要があります。Google検索は検索結果上でのユーザーの行動を追跡しており、実際のユーザーが満足した可能性の高いページをより上位に表示しようとするからです。実際のユーザーを満足させることがSEOの成功につながります。
ごく簡単な概要説明
SEOに影響する要因は大別すると3種類あり、ウェブサイト内部の最適化であるオンページ要因、ウェブサイト外部からの評価であるオフページ要因、そして実際のユーザーによる評価であるユーザー行動要因です。SEOではこれらのそれぞれに働きかけ、適切な状態へと最適化していきます。
要因 | 最適化された状態 |
---|---|
オンページ要因 | そのトピックについての著名な専門家によって作られた多くの良質なコンテンツが、わかりやすいデザインやナビゲーションで提供されている。また、検索エンジンに対してもアクセシブルに設計されている。 |
オフページ要因 | ウェブページやサイトが人々から高く評価されていることを示すシグナルとして、被リンク(権威性・信頼性)、サイテーション(知名度)、レピュテーション(評判)などがサイト外部に多く存在している。 |
ユーザー行動要因 | 検索結果上でのクリック率の高さや、ページを訪問したユーザーが検索結果に戻ってくる割合の低さなど、実際のユーザーが高く評価し、検索意図が満たされたことを示す良好なユーザー行動が観測されている。また指名検索を多く獲得している。 |
2017年5月15日のGoogle社内向けプレゼンテーション「Life of a Click (user-interaction)1」では、検索順位を決める3本の柱を下図のように説明しています。ここではボディ、アンカー、ユーザー・インタラクションという表現がされていますが、SEOの用語でいえばオンページ要因、オフページ要因、ユーザー行動要因です。
上記の中でも特に重要なのがユーザー行動要因です。検索結果画面でのクリック率を高めることと、訪問したユーザーを満足させ再び検索結果に戻る割合を減らすことを目標にしましょう。検索ユーザーが良好な行動を示せば示すほど、あなたのサイトは検索結果で上位に表示されやすくなります。
検索エンジンの仕組み
検索エンジンが検索結果を出力するプロセスは大まかに3段階あり、ウェブ上のページを巡回して収集する段階、収集したページをデータベースに格納する段階、そして、検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)に応じて適合するページをリストする段階です。各段階は次のように説明できます。
- クロール – クローラーまたはロボットと呼ばれるソフトウエアがウェブ上のページを巡回し、ページや画像のデータを収集します。クローラーがアクセスできないページは次のインデックスに進めません。この段階で重要なことは、必要なページを確実にクロールさせることです。
- インデックス – クロールしたページのコンテンツやメタデータ、各種のシグナルを分析し、インデックスと呼ばれる大規模なデータベースに格納します。ただしすべてのページをインデックスするのではなく、重複コンテンツを除外するとともに人気の高いページを優先してインデックスします。
- ランキング – インデックスに格納されたページを対象に、検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)の意図との一致性をアルゴリズムが計算し、適合度の高いものから順に検索結果にリストします。ランキングされるためには、ページが適切にインデックスされている必要があります。
検索エンジンは検知したページをすべてクロールしようとしますが、クロールできないページはインデックスできず、したがって検索の対象になりません。まずは、検索結果に表示したいページがすべて確実にクロールできインデックスできる状態になっていることが必要です。検索ランキングを向上させるのはそのあとです。
検索順位が決まる仕組み
検索結果を生成するアルゴリズムは、まず検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)を分析して、その背後にある検索意図を推測します。次いで答えとしてふさわしいページをインデックスから選び出し、最後に様々なシグナルを加味してランキングを出力します(下図)。
検索結果で上位にランキングされるためには、あなたのページが検索ユーザーが入力したクエリの意図に沿っていて、検索ユーザーが求めている答えを提供していて、リンクによる人気度やユーザーの行動のようなユーザーを満足させるページであることを示すシグナルを強化していきます。
検索意図とニーズメット
検索結果に表示されるためには、ユーザーが入力したクエリの背後にある検索意図とコンテンツが一致していることが必要です。ページの品質がどれだけ優れていても、ユーザーの検索意図と一致していなければ検索結果の上位には表示されません。この意味で、SEOにおいて最も重要なのは検索意図(下図)の理解です。
検索エンジンは検索ユーザーの検索意図に焦点を当て、そのコンテンツが検索ユーザーにとってどれだけ役立ち、どれだけ満足のいくものかを判定します。このため私たちは、ユーザーの検索意図を理解したうえで、その検索意図を的確に満たし、より役立ち、より満足のいくコンテンツを制作する必要があります。
経験、専門性、権威性、信頼(E-E-A-T)
的確な答えがいくつも見つかったとき、検索エンジンが上位に表示するのは、よりE-E-A-Tに優れたページです。E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼)のそれぞれの頭文字を取った頭字語であり、Googleが検索品質評価ガイドライン2の中で定義しているGoogle独自のウェブページの評価基準です。
検索エンジンは、外部のウェブサイトからのリンクや言及、実際の検索ユーザーの行動などを利用して、ウェブサイトやコンテンツの専門性や権威性や信頼性を判定します。ウェブサイト運営者やコンテンツ制作者自身の自己申告ではなく、第三者からの評価が重視されるのです。この点についてGoogleは次のように述べています。
どのコンテンツが専門性、権威性、信頼性を示しているか判定するために役立つシグナルを特定します。たとえば、その判定を支援するために使用している要因の 1 つに、そのコンテンツへのリンクまたは言及が他の著名なウェブサイトに含まれているか把握するということがあります。含まれていれば、多くの場合、その情報の信頼性が高いことを示す十分なしるしとなります。
ランキング結果 – Google 検索の仕組み3
ここで述べられていることは、検索ユーザーの質問に答えるコンテンツを制作するだけでなく、制作したコンテンツが信頼できることが外部の第三者のウェブサイト上で裏付けられている必要があるということです。これにはウェブサイトの外部に働きかけるオフページSEO(後述)が重要な役割を担います。
サイトや著者のE-E-A-Tを高めていく第一歩は、サイトや著者のエンティティをGoogleに認識させることです。先の引用にあった「他の著名なウェブサイトからの言及」が機能するためには、他のウェブサイト上に現れたあなたのサイト名や著者名の文字列を、Googleがあなたのサイトやあなた自身と結びつけて認識できる必要があるためです。
他と区別しやすい独自の覚えやすいサイト名をつけ、バイラインでの著者情報を表示するなどして、あなたのサイト名やあなたの名前を読者に覚えてもらい、他のウェブサイト上で言及される可能性を高めましょう。他のウェブサイト上での言及が増えてくれば、あなたのウェブサイトやあなた自身のエンティティがGoogleに認識されやすくなります。
アルゴリズムの先を行く
検索エンジンのアルゴリズムの変化を後追いし、アルゴリズムに変化があるたびに対策することをひたすら繰り返す人々がいます。SEOを「SEO対策」と呼ぶ人々です。しかし、検索エンジンのランキングアルゴリズムが目指す方向性を理解し、対策ではなく最適化だと考えていれば、延々と対策を繰り返す事態に陥らずにすみます。
Googleのアルゴリズムは人々が好むものを追いかけている。このため「アルゴリズムを追いかける」 ならアルゴリズムに遅れをとる。しかし人々が好むものを追いかけるなら、アルゴリズムの先を行くことができる。
Google SearchLiaison on X 7:10 AM · Nov 17, 20234
2023年11月、Googleのダニー・サリバン氏は上記のように述べて、アルゴリズムの進化を先回りして最適化していくことができることを示しました。この「アルゴリズムは人々が好むものを追いかけている」という言葉は比喩や抽象的な表現ではなく、次に示すような検索アルゴリズムの実際をそのまま表したものです。
- リンクポピュラリティのアルゴリズムは、実際に人々に支持されている権威性の高いページを抽出します。
- サイテーションのデータやユーザーが入力した検索クエリ(特に指名検索)のデータを利用することで、アルゴリズムは人々が実際に話題にしているサイトやブランドなどのエンティティを特定します。
- Googleが知ることのできるウェブ上の情報を分析し、人々から肯定的な評判を集めているウェブサイトやコンテンツ著者を特定します。
- ユーザーの検索行動を追跡し記録することで、アルゴリズムは実際の検索ユーザーが高く評価するページを抽出します。
私たちがSEO(検索エンジン最適化)ですべきことは、実際に検索ユーザーに好まれ役に立つページやサイトを運営することであり、それと同時に、検索ユーザーに好まれ役に立っているという事実を効率的に検索エンジンに伝えることです。アルゴリズムを後追いして対策を繰り返すのではなく、検索ユーザーに最適化することが重要です。
最適化の種類と内容
SEOで実施する作業には主に4つの側面があります。ウェブサイトの内部を最適化するオンページSEO(下の図の青い背景の部分)があり、これにはユーザーの検索意図を満たすコンテンツを作成・維持するコンテンツSEOと、ウェブサイトの技術的な側面を最適化するテクニカルSEOが含まれます。
ウェブサイト内部の最適化に加えて、ウェブサイトの外部に働きかけて知名度と評判を獲得するのがオフページSEO(上図の赤い背景の部分)です。ウェブサイト内部の最適化と外部の最適化の関係は、ユーザーの検索ニーズに合わせて内部を最適化し、外部の最適化によってそれを裏付けるというものです。
オンページSEO(サイト内部の最適化)
オンページSEOとは、ウェブサイトの内部をユーザーと検索エンジンに最適化する取り組みです。これには、ユーザーの検索意図を的確に満たすコンテンツを作成し管理するコンテンツSEOと、技術的な側面を最適化しサイトを検索エンジンに正しく理解・取得させるテクニカルSEOが含まれます。
オンページSEOの基礎になるのはデザイン(設計)です。ユーザーがあなたのサイトを訪れる目的はコンテンツであり、検索エンジンのアルゴリズムが評価するのもコンテンツです。デザインもコンテンツにフォーカスした使いやすくわかりやすいものにすることで、SEOの効果を最大にできます。
スマートフォンの普及によって検索はより生活に密着したものになりました。この状況に対応してウェブサイトは、様々な種類のデバイスでの表示や操作がしやすいようにモバイルファーストで設計されている必要があります。ユーザーが迷いにくいシンプルなナビゲーションと、最適化された内部リンク構造も重要です。
ウェブサイトは利用者の便宜のために構築するべきであり、すべての最適化はユーザー エクスペリエンス向上のための調整である必要があります。検索エンジンもそうした利用者のひとつであり、他のユーザーがあなたのコンテンツを見つけるための手助けをしています。
Google 公式 SEO スターター ガイド(2022年時点)5
検索エンジンは人間のユーザーと同じように、サイトやコンテンツの信頼性やユーザビリティ、速度、モバイルフレンドリー性などを評価します。ユーザー体験を損なわないデザインはとても重要です。これらができていることで、次に紹介するコンテンツSEOや、後述するテクニカルSEOが大きな効果を生みます。
コンテンツSEO(コンテンツの作成と維持)
コンテンツSEOとは、検索ユーザーのニーズを満たすようにウェブサイト上のコンテンツを最適化する取り組みです。自社が専門性を保持している領域の範囲内で、自社の見込み客の疑問に答え困りごとを解消するコンテンツを作成することで、検索エンジンから見込み客を集客します。
Google の自動ランキング システムは、検索エンジンでのランキングを上げることではなく、ユーザーにメリットをもたらすことを主な目的として作成された、有用で信頼できる情報を検索結果の上位に掲載できるように設計されています。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル6
Googleは公式ドキュメントで上記のように述べて、検索結果の上位に表示されるためにはユーザーのメリットになるコンテンツが必要であることを説明しています。コンテンツ制作にあたっては、検索ユーザーの役に立ち、検索ユーザーにメリットを提供することを重視しましょう。重要なポイントは次の通りです。
- 扱うトピックは自社の専門領域に限定すること。
- 対象読者を自社の見込み客に限定すること。
- 見込み客の役に立つ質の高いものであること。
- 経験や専門知識に裏打ちされた信頼できる内容であること。
- 他にない独自の価値を持っていること。
- 主張の根拠となる出典が明記されていること。
- 内容をアップデートし常に最新の状態を維持すること。
コンテンツを制作するときには、見込み客がそのコンテンツを探して検索するときに使いそうなキーワードを選定し、そのキーワードをタイトルや見出しや本文の中で自然に使うようにします。ただし、キーワードは過度に使う必要はありません。迷ったときは常に読者にとっての読みやすさとわかりやすさを優先しましょう。
コンテンツは検索マーケティングのファネル(下図)を念頭に、見込み客がコンバージョンまでにたどる各段階に応じたものを揃えることで、接触を増やし、関係を構築し、コンバージョンを最大化できます。また、ファネルの各段階ではSEOの他にリスティング広告やアフィリエイト広告を併用するのも効果的です。
コンテンツ同士を内部リンクすることも重要です。各コンテンツから、サイト内の関連性のあるページにリンクしましょう。このとき、リンクのアンカーテキストにはリンク先を端的に表す文字列を使います。こうすることでユーザーと検索エンジンにページ同士の関連性を伝えます。トピッククラスターを構成すればさらに効果的です。
低品質なページを改善または削除することも有効です。サイト内に低品質なページが多くある場合、サイト全体の評価が下がる可能性があるためです。サーチコンソールなどの無料ツール類をうまく使い、クロールされているがインデックスされていないページなど、低品質の兆候のあるページを精査しましょう。
そして、コンテンツSEOにおいて何よりも重要なことは、サイト名やコンテンツ著者名を読者に覚えてもらうことです。覚えてもらうことは、他のウェブサイト上での言及につながり、Googleによるエンティティの認識につながり、指名検索の獲得につながります。まずは覚えてもらうことを目標に、質の高い、独自の、印象的なコンテンツを作成しましょう。
上の画像はGoogleの検索結果におけるサイト名とFaviconの表示例です。もしあなたが、このサイト「ボーディーSEO」をあらかじめ知っていて、いくらかの信頼を寄せていた場合、ボーディーSEOと表示されたリンクをクリックする可能性は高まるでしょう。そうしたユーザー行動は、このサイトの表示順位の向上につながります。
コンテンツSEOは、コンテンツをフックにしたブランディングでもあります。印象に残る素晴らしいコンテンツを提供することによって、覚えてもらい、外部ウェブサイトで言及されるなどの評判を獲得していくのです。ありきたりで印象に残らないコンテンツではなく、ウェブ上のどこにもない独自の価値を持ったコンテンツを練り上げましょう。
テクニカルSEO(技術的な側面の最適化)
テクニカルSEOとは、検索エンジンがウェブサイトを正しく把握するための技術的な側面を最適化することをいいます。検索エンジンにとってウェブサイトの構造やコンテンツを理解しやすくし、正しくクロールやインデックスすることを助ける役割を担っています。ここで実施するのは次のような作業です。
- 検索エンジンが必要なページを確実に発見しインデックスできるようにクローラビリティとインデクサビリティを高める。
- 正規URLを適切にインデックスさせると同時に非正規のURLを適切にインデックスから除外するために重複コンテンツを正規化する。
- 価値の低いページを検索結果から除外するためにクローラーとインデクサーを制御する。
- ページの読み込みや画面の表示を高速化する。
- 正規URLの更新状況を検索エンジンに伝えるために、必要に応じてXMLサイトマップを送信する。
- コンテンツの著者やウェブサイトの運営企業の情報を検索エンジンに伝えるためにauthorやProfilePageなどの構造化データをマークアップする。
- ECサイトの商品ページが検索結果に表示されたときに商品スニペットを表示できるように、構造化データをマークアップする。
- URLの変更や統合などがあった場合には適切にリダイレクトする。
- ウェブサーバーの反応速度が遅すぎる場合には高速なウェブサーバーに乗り換える。
まだ検索エンジンの性能が低かった2000年前後のSEOでは、検索エンジンの仕組みを理解し、ウェブサイトの技術的な側面を最適化するテクニカルSEOは極めて重要でした。SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)の名称はこの頃の状況に由来しています。
ただし近年では、検索エンジンの性能向上と、一般的によく使われているCMSやカートシステムの改善によって、テクニカルSEOの必要性は大きく減少しています。一般的なCMSやカートシステムで運用されているサイトでは、狭義のテクニカルSEOの必要性はほとんどなくなったといってもよいでしょう。
一方、デバイスの多様化やユーザーの利用シーンがより日常に密着したものになってきていることを受けて、ユーザーエクスペリエンスの高いウェブ開発の重要性は大きくなっています。機能の面でもビジュアルの面でもコンテンツの面でも、ユーザーエクスペリエンスを最適化することが現在のSEOの要件です。
オフページSEO(知名度や評判の構築)
オフページSEOとはウェブサイトやコンテンツ著者の認知度や人気や評判を高める施策、およびそれを効率的に検索エンジンに伝える施策です。ブランディングや広報に属する取り組みとして、管理しているウェブサイトの外部に働きかけ、被リンクやサイテーション、レピュテーションを構築します。指名検索も重要な指標です。
アルゴリズムの先を行くの項で説明したとおり、検索エンジンのアルゴリズムは人々が好んでいるものを特定しようとしています。そのために上記の各指標を駆使して、よく知られていて評判のよい、信頼できるサイトを分析しています。オフページSEOでは、各指標にわずかでも介入すべく、次のようなことを実施します。
- 外部サイトでのレビュー投稿を依頼する – Googleマップやその他のクチコミサイトでレビューを投稿してもらえるように、顧客や取引先などに依頼します。同梱物やリマインダーのメールを利用したり、オンラインやオフラインでの社交を通じて直接依頼することで、好意的なレビューを増やすことができます。
- サイト内での商品レビューを依頼する – Amazonなどが好例ですが、ECサイトでは、自社が管理するサイト内に掲載される商品レビューでも数が多くなればプラスに働きます。商品を買ってくださったお客さまにレビュー投稿を依頼しましょう。
- SNSやブログの投稿を依頼する – 商品を実際に使っているシーンをSNSやブログに投稿してもらえるように顧客に依頼します。商品を送付する際の同梱物に以来のメッセージを含めたり、リマインダーのメールで依頼することが有効です。
- 名前を覚えてもらう – 店名やサイト名、コンテンツの著者名などを覚えてもらわなければ、それを話題にすることはできません。SNSやメルマガを通じて接触頻度を増やしたり、コンテンツに著者情報を表示することが有効です。
- 被リンクを構築する – SNSなどを使ってコンテンツや商品を宣伝したり、顧客や取引先に依頼することなどを通じて被リンクを構築します。基本的な被リンク構築に加えて、幅広いデジタルPRを実施するのも有効です。
- オンラインでの社交を通じて存在感を増す – 社長の個人アカウントでSNSに参加し、専門領域での情報提供を積極的に実施してSNS上のコミュニティに貢献し、何かと話題になるような、また情報源として頼られるような存在感を獲得します。
- オンラインでシェアされやすいコンテンツを作成する – コンテンツを作るとき、独自の調査結果を含めたり、インフォグラフィックをまとめるなど、オンラインでシェアされやすい性質を付け加えます。シェアされるコンテンツは御社の存在感を高めます。
- 話題を作り発信する – キャンペーンやイベントの開催など、人々の話題に上る機会を作ります。話題づくりの際には、SNSやメールマガジンや各種の広告を通じた宣伝だけでなく、プレスリリースを配信してマスメディアにアプローチするのも有効です。
- 製品やサービスを最適化する – 製品やサービスの品質や価格は、クチコミや評判を呼び、利用者を増やすための要です。これらを最適化し、競合との間に比較優位を築くことで、市場での存在感を高めます。
- 地域や業界に貢献する – 地域社会や業界での世話役などを引き受けたり、役立つ情報を継続的に発信したり、見学や視察を受け入れることによっても、知名度や評判を高めることができます。貢献は知名度と評判を作る基本です。
現在の検索エンジンは確立されたブランドを重視します。多くの利用者がいて知名度と人気があり、市場で話題になっていて、検索結果でのクリック率が高く、指名検索で訪れる人がいる、といった事実そのものが、検索エンジンが上位に表示する理由となります。会社や著者やブランドのエンティティを確立し存在感を高めましょう。
知名度や人気といったブランド価値は、ECサイトのSEOやローカルSEOなどで特に重要です。同業者や取引先や顧客や地域と交流してつながりを深めたり、マスメディアやオンラインメディアに働きかけて露出機会を増やすなど、知名度や人気や評判を高め、ブランドを確立する取り組みを実施しましょう。
さあ始めましょう!
ここまでの説明でSEOについての概要を理解したら、さっそく実践してみましょう。「習うより慣れろ」です。ここでは初心者から中級者向けに、安全性と確実性が高いSEOの方法を4つのステップに整理しました。この4つのステップに沿って進めることで、まったくの初心者でも比較的簡単に一定の結果を出すことができます。さあ始めましょう!
話題とキーワードを選定する
SEOの最初のステップは、コンテンツで扱う話題を選定し、同時に、そのコンテンツで狙うキーワードを選定することです。コンテンツで扱う話題はあなたの見込み客が抱いている疑問や課題であり、見込み客がその答えを探すときに使いそうな検索キーワードを考えます。ポイントは次の3点です。
- 関連性 – 見込み客を効率的に集客するために、あなたの専門分野との関連が深く、あなたの製品やサービスを使うことで解決が可能な疑問や課題を話題に選びましょう。
- 具体性 – 検索ニーズがより明確な、具体的に絞り込まれた話題とキーワードを選びましょう。検索ボリュームは小さくなりますが、上位表示が容易で、よく絞り込まれた確度の高い集客ができます。
- 競合性 – 競合が公的機関や大手企業ばかりといった難易度が高いキーワードは避けましょう。無名の会社や個人のサイトも表示されるようなキーワードが狙い目です。
話題やキーワードを選定する目的は、検索ユーザーの中から見込み客を絞り込むことです。見込み客が抱く疑問や課題にフォーカスし、より具体的なキーワードを選ぶことで、見込み客にアプローチしやすくなります。またキーワードが具体的であればあるほど上位表示が容易であることもポイントです。
見込み客が抱く疑問や課題を具体的に表すキーワードを選ぶときに便利なのが、Google検索のサジェストキーワードや、「関連性の高い検索」枠、「関連する質問」枠です。これらを使いこなすことで、より絞り込まれた具体的なキーワードで、しかも実際によく使われているキーワードを発見することができます。
下の画像はサジェストキーワードの例です。Googleの検索ボックスにキーワードを入力すると、関連するキーワードの候補が表示されます。これを参考にすることで、より具体的なニーズを表すキーワードを発見できます。様々に検索を繰り返して、あなたの見込み客が知りたがっている疑問をよく表すキーワードを発見しましょう。
下の画像は検索結果画面に挿入される「関連する質問」枠です。ここには人々が知りたがっている疑問が疑問形の文章で表示されます。あなたの見込み客が投げかけそうな質問を探し、もしぴったりの質問を見つけられたなら、それをそのままコンテンツのタイトルに採用するのもいいでしょう。
下の画像は検索結果画面の下部に表示される「関連性の高い検索」枠です。入力したキーワードに関連して人々が検索しているキーワードが表示されます。これを利用することで、コンテンツのアイデアを増やしていくことができます。新しいコンテンツのアイデアが欲しい時に利用するととても便利です。
これらはすべて検索ユーザー向けのヒントですが、SEOを実施する側にとってもコンテンツで扱う話題やキーワードを考えるヒントになります。うまく活用しましょう。こうしたヒントに加えてあなたならではの洞察を加えて、見込み客が知りたい話題とキーワードを選定します。これがSEOの最初のステップです。
検索意図と難易度を調査する
SEOの二番目のステップは、先ほど選定したキーワードのそれぞれについて、Googleがどんな検索意図であると認識しているかを調査すると同時に、キーワードごとのSEOの難易度を調査することです。SEOの難易度はキーワードや話題によって変化します。難易度の高い話題やキーワードは避けたほうが無難です。まずは実際に検索してみましょう。
- 検索結果に公的機関が多く表示される – 政府ドメイン(.go.jp)や地方自治体ドメイン(.lg.jp)や高等教育機関ドメイン(.ac.jp)、または医療機関のサイトが多く表示される場合、GoogleはそのキーワードをYMYLトピックだと認識している可能性が非常に高いです。一般のサイトが上位表示するのは事実上不可能ですので、キーワードを再考しましょう。
- 検索結果に大手企業が多く表示される – テレビCMなどでよく知られた大手企業が多く表示されている場合、極めて競争が激しく、これからSEOに取り組む中小企業が狙うキーワードとしては難易度が高すぎます。もう少し絞り込んだキーワードを考える必要があります。
先ほど選んだそれぞれのキーワードで実際に検索してみて、検索結果が上記のようなものになっていたなら、そのキーワードでのSEOは避けましょう。これらは上級者にも手に負えないか、または長い時間のかかる非常に困難なキーワードです。コンテンツで扱う話題から検討し直し、もっと難易度の低いものを選択すべきです。
難易度の低そうなキーワードを選んだら、それぞれのキーワードについてさらに検索結果をよく見てみましょう。Googleがそのキーワードの検索意図をどう判断しているかによって、あなたが制作すべきコンテンツの種類が決まるからです。実際に検索してみた結果は次のうちどれに近いでしょうか?
- 意味や概念を説明するコンテンツが多く表示される – Googleはそのキーワードを「知りたい」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験を活かして対象の事物を包括的に説明するコンテンツです。
- 方法を説明するコンテンツが多く表示される – Googleはそのキーワードを「やってみたい」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験や技能を活かして方法やコツを説明するコンテンツです。写真や動画を使うのも効果的です。
- おすすめリストが多く表示される – Googleはそのキーワードを「買い物の下調べをする」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験を活かしたおすすめリストや選び方ガイドです。
- 地図が表示される – Googleはそのキーワードを「場所を探す」意図だと認識しています。あなたが実施すべきなのはコンテンツSEOではなくローカルSEOです。
- 商品や通販サイトが多く表示される – Googleはそのキーワードを「商品を探す」意図だと認識しています。あなたが実施すべきなのはコンテンツSEOではなくECサイトのSEOです。
上記の中で狙い目なのは、「知りたい」検索意図に答えて意味や概念を説明するコンテンツと、「やってみたい」検索意図に答えて方法やコツを説明するコンテンツです。これらはあなたの専門知識や経験を投入しやすく、また、コンテンツのアイデアも実際の見込み客から得られるためにアイデアが枯渇しにくいからです。
コンテンツを作成し改善する
三番目のステップでは、ここまでに選定した話題とキーワードに沿って、ユーザーの検索意図に合致し、役立つ高品質なコンテンツを作成していきます。コンテンツの作成についてのポイントはこの記事内のコンテンツSEOの項ですでにまとめました。あとは実際に作成し、どこに出しても恥ずかしくない信頼性の高いコンテンツを公開していきましょう。
またコンテンツの作成にあたっては、単にSEOによる集客だけを目標とするのではなく、ソーシャルメディアも連動させたコンテンツマーケティングとして機能させることもできます。興味関心の近い人々とソーシャルメディアでつながり、日頃から交流を持ち、その人々にコンテンツを共有することで、コンテンツの拡散やそれにともなう被リンク構築を同時に達成できます。
コンテンツを公開し、SNSで宣伝しても、それだけではまだ終わりではありません。Googleサーチコンソールの「検索結果」レポートを使って表示順位やクリック数を追跡し、期待するほどのパフォーマンスが出ていないコンテンツを改善しましょう。よりわかりやすく、より詳しく、より包括的で、より信頼できるように改善することで、パフォーマンスを高めることができます。
外部からの評価を獲得する
SEOの最後のステップはサイト外部への働きかけです。SEOはサイト内だけでは完結しません。すでに説明したとおり、Googleの検索結果のランキングは実際の人々による評価を最重要視します。Googleは人々による評価を検索結果に反映するために、リンクやサイテーションやレピュテーションや指名検索やユーザー行動などを使用します。
あなたの会社やお店の、そしてあなた自身のブランドを確立する取り組みが必要です。業界や地域でよく知られ、専門家や権威者として信頼される会社や人物になることを目指して活動しましょう。オンラインでは人々の信頼に足るコンテンツの発信とソーシャルメディアの活用を、オフラインでは業界や地域に貢献する活動を積み重ねましょう。
SEOに取り組み始めた当初は具体的で絞り込まれたキーワードでしか検索結果の上位を獲得できないのが通常ですが、会社や著者のブランドが形成され、オンラインとオフラインでの存在感が高まるにつれて、競争の激しいキーワードでも検索結果の上位を獲得できるようになっていきます。それを目指していきましょう。
まとめ
ここまでSEO(検索エンジン最適化)の概要と実践方法を解説してきました。少し難しく感じられたかもしれませんが、SEOは「あなたの見込み客の疑問に専門家として的確に答えるコンテンツを作る」ことが中心ですから、新入社員や外注先にとっては困難でも、経営者が自分で実施するなら難しくありません。
コンテンツ作成のほかに重要なことは、被リンクやサイテーションやレピュテーションや指名検索の獲得です。これらの獲得のためには、オンラインやオフラインで存在感を高める活動が必要です。これは名前と顔を出して活動できる人物ほど有利であり、この意味でSEO担当者に適任なのは社長であるといえます。
小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます。
SEO業者(代理店、コンサルタント)とは| Google 検索セントラル7
Googleは公式ドキュメントで上記引用のように述べ、経営者であればSEOは自分でできると説明しています。見込み客が自ら望んで御社のウェブサイトを訪れるようになることほど素晴らしいことはありません。自分で最適化を実践することでそれを実現しましょう。それをするのは社長であるあなたです。
脚注
- Trial Exhibit-UPX0004: U.S. and Plaintiff States v. Google LLC – Google presentation: Life of a Click (user-interaction) (May 15, 2017) ↩︎
- Google検索品質評価ガイドライン(英語・PDF) ↩︎
- ランキング結果 – Google 検索の仕組み ↩︎
- Google SearchLiaison on X 7:10 AM · Nov 17, 2023 ↩︎
- Google 公式 SEO スターター ガイド | Google 検索セントラル(Wayback Machine 2022年12月31日) ↩︎
- 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル ↩︎
- SEO業者(代理店、コンサルタント)とは| Google 検索セントラル ↩︎